ウレタンゴムの耐候性は?他材質との違いも解説
ウレタンゴムは高い機械的強度と耐摩耗性を誇り、
自動車部品から産業機械、建材まで幅広い分野で採用されています。
しかし、屋外環境で使用する際に重要となるのが「耐候性」です。
紫外線や雨水、温度変化といった外部要因が長期間作用すると、ゴム材料は劣化し、
性能低下を引き起こす可能性があります。
本記事では、ウレタンゴムの耐候性に焦点を当て、特徴や使用用途、劣化要因、
注意すべき点などをわかりやすく解説します。
目次
1、ウレタンゴムとは?
ウレタンゴムは、イソシアネートとポリオールを反応させて生成される合成高分子材料です。
「ポリウレタン」の一種でありながら、ゴムの弾性と樹脂の強度を併せ持つことが特徴です。
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軟らかいゴム様材料から硬いプラスチック様材料まで設計可能
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金属・樹脂代替材としても活躍
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寸法安定性や耐摩耗性が高い
その多様性から、少量部品のカスタム成形にも広く利用されています。
2、ウレタンゴムの代表的な特徴
ウレタンゴムが採用される主な理由は次の通りです。
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高い耐摩耗性
繰り返し摩擦が加わる部品に最適 -
高い破断強度・引裂強度
衝撃や荷重に耐えやすい -
硬度調整が幅広い
用途に応じた物性設定が可能 -
耐油性に優れる種類がある
設備機器内部でも利用しやすい
「強いゴム素材」を求める現場で重宝されます。
3、耐候性とは何を指すのか
耐候性とは、屋外環境での劣化しにくさを示す性能評価です。
対象となる外的要因は主に以下です。
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紫外線(UV)
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熱や寒暖差
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雨水・湿気
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酸素・オゾン
影響を受けると、硬化・表面ひび割れ・弾性低下・変色などが生じる場合があります。
4、ウレタンゴムの耐候性の評価
ウレタンゴムは耐摩耗性には非常に優れる一方、
紫外線・オゾンに対する耐候性は中程度
と評価されることが多い材質です。
さらに種類により傾向が異なります。
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エステル系ウレタン
湿気や加水分解に影響を受けやすい -
エーテル系ウレタン
湿気に比較的安定し耐候性が良い傾向
ただし、屋外に長期間さらされる場合は劣化リスクを考慮しなければなりません。
5、他材質との耐候性比較における一般的傾向
一般論として、以下の傾向が知られています。
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EPDM・シリコンゴム … 紫外線に強く屋外用に適する
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ウレタンゴム … 屋外耐久性は用途次第、環境確認が重要
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天然ゴム・NBR … 紫外線に弱く劣化が進みやすい
したがって、「耐候性の高さ」を最優先とする場合、ウレタンゴム以外が候補に挙がるケースが多いです。
6、ウレタンゴムの劣化要因
屋外使用における主な劣化メカニズムは以下です。
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紫外線による化学構造破壊
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オゾンによる酸化劣化
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熱による硬化進行
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水分による加水分解(エステル系で比較的多くみられる)
劣化は徐々に表面から進行し、機能喪失につながる可能性があります。
7、耐候性が求められる用途例
ウレタンゴムが用いられつつ、耐候性も必要な例として次の用途が挙げられます。
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屋外設備のローラー部品
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車両用ダンパー部品
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建築資材の緩衝材
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搬送設備部品
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スポーツ・レジャー用品
ただし、使用環境に応じた材質選定が大前提となります。
8、ウレタンゴム選定時の検討ポイント
特に以下は事前確認が重要です。
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屋外露出期間・頻度はどれくらいか
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紫外線量が多い地域か
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温度変化・湿度レベル
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求める寿命と交換サイクル
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必要な強度特性
耐摩耗性だけで判断せず、環境条件と性能バランスを確認することが求められます。
9、ウレタンゴムの品質確認の一般的なポイント
製品の信頼性を確保するため、一般的には次の点が考慮されます。
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使用環境に応じた材質選択がなされているか
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図面や仕様で想定荷重・条件が明確化されているか
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必要に応じ耐候性に関する情報を入手しているか
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過去の使用実績や品質要求を確認しているか
製品の長期安定性を確保するための基本的な確認項目です。
10、まとめ
ウレタンゴムは、耐摩耗性や強度に優れる一方で、耐候性は材質構造や使用環境によって左右される材料です。
屋外環境での使用を前提とする場合、適切な材質選定と性能確認が品質確保につながります。
木成ゴム株式会社では、ウレタンゴムをはじめとする多様な工業用ゴム製品の加工に対応しており、
使用環境に合わせた材質検討や仕様ご提案が可能です。
製品化の初期段階からのご相談にも柔軟に対応いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。




