1. TOP
  2. メディア名
  3. お役立ち情報
  4. EPDMの耐候性は?他材質との違いも詳しく解説

木成ゴム株式会社|樹脂、ゴム、金属、その他あらゆる材質を最適加工

EPDMの耐候性は?他材質との違いも詳しく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
EPDMの耐候性は?他材質との違いも詳しく解説

工業用ゴム部品の選定において、「屋外で使用できるか」「紫外線・雨・温度変化に強いか」、
といった耐候性は非常に重要な要素です。
特に建築・自動車・インフラ関連の部品では、長期間にわたり性能を維持できる素材が求められます。

その中でもEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)は、耐候性に優れるゴムとして広く利用されています。
しかし、「EPDMはどの程度の耐候性があるのか」「他の材質とどう違うのか」、
と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、EPDMの耐候性を中心に、一般的な物性、代表的な使用例、他材質との比較ポイントなどを整理し、
調達・購買担当の方にも材料選定しやすいよう詳しく解説します。




 

  

1、EPDMとは?

EPDMは、エチレン、プロピレン、少量のジエンを共重合して作られる合成ゴムです。
なお、「D=ジエン」「M=ゴム(ISO記号で飽和系ゴム)」を意味しています。

飽和系ゴムであるEPDMは、化学構造上、外部からの酸化や紫外線劣化を受けにくいことが特長です。

自動車用シール材、住宅用ガスケット、電線被覆など、屋外・高温環境に用いられるケースが多く、
非常に汎用性の高いエラストマーとして位置づけられています。



2、EPDMの主な特徴


EPDMの代表的な性質には以下が挙げられます。

  • 耐候性・耐オゾン性に優れる

  • 耐熱性が高く、高温下でも性能維持が可能

  • 耐水性・耐薬品性に一定の強みがある

  • 柔軟性と弾性に優れ、長期的に安定

ゴムとしてバランスが良く、コスト面でも比較的導入しやすいため、採用の間口が広い素材です。


 

3、EPDMの耐候性が優れている理由

 

EPDMが耐候性で評価される最大の要因は、「飽和系骨格」の分子構造にあります。
不飽和結合が少ないため、酸素・オゾン・紫外線との反応を受けにくく、劣化進行速度が遅くなります。

さらに、以下の耐環境要因にも強みを示します:

  • 強い日差しによる紫外線

  • 雨水・湿気

  • 塩害(潮風)

  • 酸化性の大気環境

  • 大きな温度差

屋外環境で長期使用が前提の場合、EPDMは高い信頼性を発揮します。



4、EPDMの耐候性が求められる使用環境

 

例えば以下のような条件の部品に多用されています。

  • 屋外に露出するパッキン・シール材

  • 高温環境で使用されるホース

  • 雨水、日光、温度サイクルを受ける建材部品

  • オゾン濃度が高くなりやすい電気設備周辺

耐候性の高さにより、メンテナンス周期の長期化やライフサイクルコスト削減にも寄与できます。

 

 

5、代表的なEPDM製品の用途例

 

EPDMは生活のさまざまな場所で使用されています。

主な用途例

  • 自動車:ドアシール、ウェザーストリップ、ラジエータホース

  • 住宅・建築:窓枠ガスケット、屋根防水材

  • インフラ:電線被覆、橋梁用ゴム部材

  • 工業:パッキン、Oリング、水回りシール材

屋外かつゴム特性が必要な場面では、まず検討される代表材質です。

 

 

6、他のゴム材質との耐候性比較ポイント

 

以下、一般論の範囲で比較のポイントを整理します。

  • 天然ゴム(NR):耐候性は低く、屋外は不向き

  • NBR(ニトリル):耐油性は優秀だが、耐候性はEPDMに劣る

  • CR(クロロプレン):耐候性は比較的良いが、EPDMのほうが強いケースが多い

  • シリコンゴム:耐候性は同等以上だが、価格が高く機械強度はEPDMに劣る

  • フッ素ゴム:耐候性・耐熱性は非常に強いが、コスト面のハードルが高い

EPDMは耐候性とコストのバランスに優れた素材として位置付けられます。

 

 

7、EPDMの弱点・注意点

 

万能ではないため、調達時には以下の点に留意が必要です。

  • 耐油性は強くない
    特に鉱物油・潤滑油系の環境には不向きです。

  • 耐寒性はシリコンほど強くない
    低温環境が厳しい場合は材質検討が必要です。

  • 機械強度はCRやウレタンゴムに劣る
    摩耗性を要する用途は向き不向きを検証する必要があります。

用途条件を正しく整理することで、EPDMのメリットを最大限活かすことが可能になります。

 



8、EPDM選定時に確認すべき要素

 

調達担当者視点で押さえておくべき条件例:

  • 使用温度範囲

  • 屋外曝露の有無・年数

  • 薬品・油の接触有無

  • 圧縮環境・取り付け形状

  • 硬度や着色など意匠性の要求

  • 寸法公差や加工方法(成形/押出など)

これらを整理しておくと、サプライヤーとの仕様検討がスムーズになります。





9、調達担当者が知っておきたいEPDMの市場性・供給性

 

EPDMは世界的に生産量が多く、特定のメーカー依存度もそこまで高くありません。そのため、

  • 安定供給が可能

  • 比較的価格変動が緩やか

  • 多様なグレード展開がある

といった調達上のメリットがあります。

特に建築・自動車分野の量産品を中心に、国内でも多数の加工メーカーが対応可能な素材です。

 
 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、EPDMを含む各種工業用ゴム材料の加工に幅広く対応しております。
耐候性が求められる部品について、材質選定から試作~量産まで、一貫してお手伝いが可能です。


また、長年の製造実績を活かし、使用環境やコスト要件を踏まえた最適な提案を行います。

EPDM製品の調達や試作をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 




  • このエントリーをはてなブックマークに追加