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射出成形(射出成型)とは?特徴・加工法・使用例を解説

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射出成形(射出成型)とは?特徴・加工法・使用例を解説

プラスチック製品の多くは、「射出成形(射出成型)」という加工方法によって作られています。
私たちが日常的に使う自動車部品、家電筐体、精密機器のカバーなど、
多くの製品がこの工法で大量生産されています。


本記事では、射出成形の基本原理から、使用される材料、製造工程、メリット・デメリット、
そして実際の使用例まで、わかりやすく解説します。






  

1、射出成形(射出成型)とは?

射出成形とは、溶かしたプラスチックを金型に高圧で流し込み、
冷却・固化させて製品を成形する加工方法
です。

英語では「Injection Molding」と呼ばれ、熱可塑性樹脂や一部の熱硬化性樹脂に適用されます。

この方法は、大量生産に非常に向いており、精密な形状や薄肉製品も安定して作れるのが大きな特徴です。
家電、医療機器、自動車、精密部品など、幅広い分野で使用されています。



2、射出成形の基本原理

 

射出成形の原理は、シンプルに言えば次の3段階です。

  1. 加熱・溶融:プラスチックペレット(粒状樹脂)を加熱し、ドロドロに溶かします。

  2. 射出・充填:溶かした樹脂を高圧で金型に流し込みます。

  3. 冷却・離型:金型内で冷却し、固まった製品を取り出します。

この一連の工程が数十秒〜数分のサイクルで繰り返されることで、
寸法精度が高く、均一な品質の製品を短時間で大量に生産することが可能です。



3、射出成形機の構造と役割

 

射出成形機は大きく「射出ユニット」と「型締ユニット」の2つで構成されます。

  • 射出ユニット:樹脂を加熱して溶かし、スクリューの押し出し力で金型に射出します。

  • 型締ユニット:金型を強力に閉じて、樹脂が漏れないよう保持。冷却後、金型を開き成形品を取り出します。

また、金型も重要な要素です。
金型には「キャビティ(製品の形)」と「ランナー(樹脂の通り道)」が設けられており、
成形品質を大きく左右します。


精度の高い金型設計と温度管理が、成形品質の安定には欠かせません。

 

 

4、射出成形に使用される代表的な材料

 

射出成形で使用される樹脂には、主に熱可塑性樹脂が使われます。
以下のような種類が代表的です。

  • ABS樹脂:耐衝撃性と加工性に優れ、家電や自動車内装に使用。

  • ポリカーボネート(PC):透明性と耐熱性に優れ、ヘルメットや照明カバーなどに使用。

  • ポリプロピレン(PP):軽量で耐薬品性が高く、食品容器や自動車部品に利用。

  • ナイロン(PA):機械的強度に優れ、ギアやベアリング部品に使用。

  • POM(ポリアセタール):耐摩耗性・寸法安定性に優れ、精密機構部品に使用。

これらの材料は、成形条件(温度、圧力、冷却速度)によって仕上がりが大きく変わります。
そのため、樹脂の選定と条件設定は経験と技術が求められる重要工程です。

 

 

5、射出成形の加工工程

 

射出成形の基本工程は以下の通りです。

  1. 材料の投入:ホッパーからペレット状の樹脂をスクリュー部に投入。

  2. 加熱・可塑化:バレル(加熱筒)内で樹脂を溶かし、均一な粘度に調整。

  3. 射出:スクリューの前進によって、溶融樹脂を金型に高圧で注入。

  4. 保圧:金型内で樹脂の収縮を補正し、寸法精度を確保。

  5. 冷却:金型を冷やして樹脂を固化。

  6. 離型・取出し:金型を開いて成形品を取り出す。

これらは自動制御されており、1サイクルあたり数十秒〜数分で繰り返されます。
短時間で高精度な製品を連続生産できることが、射出成形の最大の強みです。


 

6、射出成形の主な特徴とメリット

 

射出成形には、次のような利点があります。

  • 大量生産に最適:1つの金型で何千〜何万個もの製品を連続生産可能。

  • 高精度な形状が可能:微細な溝や薄肉部品も高い再現性で成形できる。

  • 材料ロスが少ない:樹脂の使用効率が高く、環境負荷を抑制。

  • 多様なデザイン対応:色付けや表面処理など、多彩な意匠性が実現可能。

  • 自動化に適する:一度条件を設定すれば、安定的に自動成形できる。

こうした特長から、精密機械部品や外装部品など、品質が求められる産業用途でも広く利用されています。


 

7、射出成形のデメリット・注意点

 

一方で、射出成形には次のような課題もあります。

  • 金型製作コストが高い:初期投資として数十万〜数百万円が必要。

  • 設計変更が難しい:金型完成後の形状修正は時間と費用がかかる。

  • 樹脂の選定がシビア:材料によって成形条件が大きく異なる。

  • ガス焼けやヒケなどの不良が発生しやすい:成形条件や金型設計の最適化が必須。

そのため、量産前の試作や金型調整が非常に重要です。
経験豊富な技術者による条件出しと品質管理が、安定生産の鍵を握ります。




8、射出成形品の代表的な使用例

 

射出成形は、以下のような幅広い分野で利用されています。

  • 自動車部品:バンパー、インパネ、ドアハンドル、ギアなど

  • 家電製品:テレビ筐体、冷蔵庫の内装部品、リモコンカバー

  • OA機器:プリンタ部品、キーボードキー、コネクタ類

  • 医療機器:シリンジ部品、容器、カバー類

  • 日用品・雑貨:洗剤ボトル、収納ケース、玩具など

これらはいずれも寸法精度・外観品質・生産効率が求められるため、
射出成形が最も適した工法とされています。





9、射出成形と他の成形方法の違い

 

射出成形と似た加工法には、真空成形・圧空成形・押出成形などがあります。
しかし、それぞれに特徴があります。

  • 真空成形:加熱した板材を真空吸引で金型に密着させる。薄肉・大型製品向き。

  • 圧空成形:真空と圧力の両方で成形する。成形精度が高い。

  • 押出成形:連続的に樹脂を押し出してパイプやシートを作る。連続製造向き。

  • 射出成形:溶融樹脂を金型に射出し、立体形状を高精度に成形する。

つまり射出成形は、高精度で複雑な立体形状を大量生産できる唯一の方法といえます。

 

 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、射出成形(射出成型)による高精度プラスチック部品の製作を承っております。
多様な熱可塑性樹脂(ABS・PC・POMなど)に対応し、試作から量産まで一貫してサポートいたします。

射出成形による部品製作・試作・材質選定でお困りの際は、ぜひ木成ゴム株式会社までお気軽にご相談ください。
専門技術者が最適な成形条件と材料提案を行い、お客様の製品づくりを全力でサポートいたします。

 





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