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木成ゴム株式会社|樹脂、ゴム、金属、その他あらゆる材質を最適加工

EVA樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

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EVA樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

EVA樹脂(エチレン・ビニル・アセテート共重合樹脂)は、柔軟性と弾力性に優れ、
幅広い製品に利用されている熱可塑性樹脂です。
スポーツ用品から産業資材、日用品まで多岐にわたり、
多くの企業が採用している汎用性の高い素材として知られています。

本記事では、EVA樹脂の材質的な特徴やメリット、用途例、他素材との比較、
加工時の注意点、国内メーカー情報まで、分かりやすく総合的に解説します。
EVA樹脂を製品に採用する際の参考として、ぜひご活用ください。






  

1、EVA樹脂とは?

EVA樹脂(Ethylene Vinyl Acetate)は、エチレンと酢酸ビニル(VA)を共重合させたポリマーです。
配合されるVAの量によって柔らかさや弾性が大きく変化し、
「ゴムのような柔軟性」と「プラスチックの加工性」を併せ持つ特徴があります。

特にクッション性や耐候性に優れていることから、スポーツ用品、シューズ底材、緩衝材、フィルム用途など、
さまざまな分野で利用されている万能型樹脂のひとつです。



2、EVA樹脂の原料と材質構造

 

EVA樹脂は、原料となる「エチレン」と「酢酸ビニル」を重合させて製造されます。
この酢酸ビニル(VA)量の割合で性質が変わり、一般的には以下のように傾向が変化します。

  • VA含有量が低い(10%以下)
    → 硬めでPEに近い性質。耐熱性が比較的高く、フィルムなどに使用。

  • VA含有量が中程度(10〜20%)
    → 柔軟性と機械強度のバランスが良い。一般的なシューズ素材・玩具など。

  • VA含有量が高い(20%以上)
    → ゴムライクな柔軟性が増し、粘着性や弾性も強まる。クッション材などに最適。

このように、配合比率によって用途が大きく変わる点がEVA樹脂の大きな魅力です。



3、EVA樹脂の特徴

 

EVA樹脂には、他の樹脂にはない独特の特性があります。


■ 柔軟で弾力がある

ゴムのように柔らかく、衝撃を吸収するクッション性を持ちます。


■ 耐候性・耐水性が高い

紫外線や水に強く、屋外用途にも適しています。


■ 無臭で安全性が高い

EVAは多くの国で玩具や日用品向け素材として使用されており、
刺激臭や有害物質が少ない点も評価されています。


■ 低温でも硬くなりにくい

寒冷環境でも柔軟性が保たれるため、スキー用品や屋外用品にも採用されています。

 

 

4、EVA樹脂のメリット

 

EVA樹脂を採用することで得られる利点は以下のとおりです。


● 軽量で扱いやすい

スポーツ用品・オンライン配送資材など、軽量化したい用途に最適です。


● 着色性が良くデザイン性が高い

カラフルな製品が作りやすく、玩具・雑貨用途で広く用いられています。


● 成形しやすく、加工の自由度が高い

射出成形、押出成形、発泡成形など多様な加工が可能です。


● 衝撃吸収性に優れる

スポーツシューズや緩衝材に最適な理由でもあります。

 

 

5、EVA樹脂のデメリット・注意点

 

メリットが多い一方、以下の点には注意が必要です。


● 耐熱性は高くない

高温環境では柔らかくなりやすく、耐熱が重要な用途には不向きです。


● 溶剤に弱い場合がある

特定の油分や溶剤と接触すると膨潤することがあります。


● 摩耗しやすいものもある

柔らかさを優先したグレードでは耐摩耗性が低くなる傾向があります。


 

6、EVA樹脂の主な使用例 


■ スポーツ用品

サンダルのソールやヨガマット、プロテクターなど。

■ 日用雑貨

バスマット、クッション材、子ども向け玩具、安全マットなど。

■ 産業資材

緩衝材、包装材、建材の隙間埋め材、パイプカバーなど。

■ 医療・衛生用品

透明性を活かしたチューブ、ソフトケースなど。

■ 家電・事務用品

ケーブル被覆材、滑り止めパッドなど。

 


 

7、他素材(PE・ゴム・PVC)との違い

 

● PEとの違い

PEよりも柔らかく、弾力性に優れています。耐候性もEVAの方が高い傾向にあります。

● 合成ゴムとの違い

ゴムに比べ軽量で、成形性はEVAの方が高い一方、本格的な耐熱・耐油性はゴムが上です。

● PVCとの違い

PVCより柔らかさと軽さに優れ、安全性の面でEVAが選ばれるケースがあります。
一方、耐熱性や強度ではPVCが優位な場合もあります。



8、EVA樹脂の注意点・デメリット

 

■ 用途に合わせてVA含有量の異なるグレードを選ぶ

クッションが必要か、強度が必要かによって最適なグレードが異なります。

■ 使用環境(温度・湿度・溶剤)を確認する

耐熱性や耐薬品性はそこまで高くないため、用途に合わせた検討が必要です。

■ 加工方法に応じた材質選定

発泡の有無、シートか成形品かなど、加工方法に合わせた材料選びが重要になります。



9、代表メーカー・ブランド

 

国内でもEVA樹脂を取り扱うメーカーは複数存在し、それぞれ独自の特徴を持つ製品を提供しています。

■ 三井化学

ポリオレフィン系材料に強みがあり、EVA樹脂も幅広い産業向けに展開。
フィルム用途や包装資材向けグレードが豊富です。

■ 住友化学

品質安定性の高さに定評があり、シート材や産業用途で採用されることも多いEVAグレードを展開。

■ 三菱ケミカル

射出成形用・シート用など、多用途向けのEVAグレードを扱っています。
家電部材や雑貨など幅広く利用されています。


メーカーによって物性や加工性に違いがあるため、用途に応じた比較検討が推奨されます。

 

 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、各種樹脂・ゴム素材に関するご相談を承っております。
EVA樹脂は用途が非常に広く、グレード選定や他素材との比較、使用環境に応じた検討が重要になります。

当社では、素材に関する基本的な比較検討や、用途に応じたアドバイスのご提供など、
お客様のお困りごとに寄り添ったサポートを心がけております。
どうぞお気軽にお問い合わせください。

 





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