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ポリエステル樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

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ポリエステル樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

近年、プラスチック材料は用途や環境への配慮を背景に多様化しています。
その中でもポリエステル樹脂は、工業製品から日用品まで幅広く活用されている代表的な樹脂です。

本記事では、ポリエステル樹脂の材質的な特徴、種類、機械特性、メリット・デメリット、
代表的な製品分野、国内メーカー情報などを体系的に解説します。
初めてポリエステル樹脂を理解したい方から材料の比較検討を行う技術者の方まで、
分かりやすく整理してご紹介します。






  

1、ポリエステル樹脂とは?

ポリエステル樹脂とは、「酸」と「アルコール」を縮合させることで生成される高分子化合物の総称です。
フィルム・ボトルなどで広く知られるPET(ポリエチレンテレフタレート)もポリエステル樹脂の一種で、
工業・生活用途の双方で非常に多く使用されています。

ポリエステル樹脂は大きく以下の2種類に分けられます。

  • 不飽和ポリエステル樹脂(UP)
    塗料、FRP、建材、浴槽などに用いられる熱硬化性樹脂。

  • 飽和ポリエステル樹脂(PET・PBTなど)
    成形性に優れ、家電部品、電子部品、自動車部品などに利用される熱可塑性樹脂。

いずれも耐薬品性や機械強度などに優れ、幅広い産業で採用されています。



2、ポリエステル樹脂の主な種類

 

ポリエステル樹脂は用途に応じて複数のタイプがあります。
ここでは代表的なものを簡潔に解説します。


■ 不飽和ポリエステル樹脂(UP)

不飽和結合を含むため架橋反応が可能で、硬化すると強い硬さと耐薬品性を持ちます。
FRP(繊維強化プラスチック)の母材として使われることが多く、
建築・船舶・バスルームユニット、浄化槽など幅広く使用されています。


■ PET(ポリエチレンテレフタレート)

ペットボトルで広く知られる汎用樹脂。
透明性が高く、耐熱性・強度・寸法安定性にも優れます。フィルム、ボトル、繊維など多用途。


■ PBT(ポリブチレンテレフタレート)

PETよりも成形性に優れ、電気絶縁性も高い熱可塑性樹脂。
コネクタ部品や機構部品に多用されます。


■ その他(可溶性・水性・特殊ポリエステルなど)

コーティング剤、接着剤、インキ用途など、特性を活かした特殊なポリエステル樹脂も存在します。



3、ポリエステル樹脂の構造的な特徴

 

ポリエステル樹脂は「エステル結合」が連なった高分子構造を持っています。
この結合により以下の特徴が生まれます。

  • 分子が規則的に並ぶため結晶化しやすい

  • 剛性・強度が高く、外力に対する耐性が優れる

  • 耐薬品性に強い

  • 使用環境温度に応じた耐熱性を持つ

  • 酸化には比較的強いものの、高温多湿環境下では加水分解のリスクがある

用途や加工方法に応じて、結晶化度や添加剤の工夫が行われています。

 

 

4、ポリエステル樹脂の物性

 

ポリエステル樹脂は全体的に以下のような物性を持ちます。


■ 耐熱性・耐候性

PETやPBTは耐熱性に優れ、電気・電子部品にも使用されます。
不飽和ポリエステルは硬化後に耐候性を持ち、建築外装材にも利用可能です。


■ 機械強度

適度なしなやかさと高い剛性を兼ね備え、引張強度・曲げ強度ともにバランスが良い材料です。


■ 電気特性

PBTをはじめ、飽和ポリエステル樹脂は絶縁性に優れ、電気機器の絶縁部品として重宝されています。


■ 寸法安定性

成形収縮が比較的小さく、最終製品の精度を保ちやすい点は大きなメリットです。

 

 

5、ポリエステル樹脂のメリット

 

ポリエステル樹脂を採用することで得られる主な利点は以下のとおりです。

  • 耐薬品性に強く、薬品に触れる製品でも使用しやすい

  • 耐熱性・機械強度・寸法安定性などのバランスが良い

  • 成形しやすく量産向き(PET・PBTなど)

  • FRP用途では軽量で高強度な構造材になる

  • 透明性や外観性が高く、日用品にも適用可能

使用分野が広い樹脂材料として非常に扱いやすい材料といえます。


 

6、ポリエステル樹脂のデメリット・注意点 


メリットが多い一方、以下の点には注意が必要です。

  • 加水分解による劣化
    高温多湿の環境では加水分解が起こりやすいタイプもあるため、用途によっては設計配慮が必要。

  • 耐衝撃性は樹脂によっては中程度
    PETは硬くて強い一方で、衝撃耐性はほどほどで、用途によっては他樹脂の方が適する場合もあります。

  • 熱硬化性ポリエステルはリサイクルが難しい
    FRP用途などで硬化した材料は再利用が難しく、廃棄プロセスが課題となるケースがあります。

  • 耐アルカリ性は弱い
    強アルカリ環境では劣化が進む場合があります。

用途に応じて十分な事前検討が必要です。

 


 

7、ポリエステル樹脂の代表的な使用例

 

ポリエステル樹脂は、以下のように非常に幅広い製品で採用されています。


■ 日用品・包装材

  • ペットボトル

  • 食品トレイ・包装フィルム

  • 家電カバー

透明性や耐熱性、生産性の高さが評価されています。


■ 電気・電子部品

  • コネクタ

  • モーター部品

  • 電装部品のハウジング

絶縁性や耐熱性、寸法精度の高さが求められる分野です。


■ 自動車部品

  • センサーケース

  • 端子周りの部材

  • 各種精密部品

軽量で耐熱・耐薬品性に強い点から採用が進んでいます。


■ 建築・インフラ・産業用途

  • FRP浴槽

  • 建材パネル

  • 浄化槽

  • 船体部材


不飽和ポリエステル樹脂を用いたFRPは軽さと耐蝕性の両立が可能な材料です。



8、他素材との比較ポイント

 

樹脂選定では他素材との比較が欠かせません。ここでは簡潔に比較軸を示します。


■ エポキシ樹脂との比較

  • エポキシの方が接着性・強度は高い

  • ポリエステルはコスト面・量産性で有利

  • FRP分野では不飽和ポリエステルが重宝される


■ ポリカーボネート(PC)との比較

  • PCは衝撃性に優れる

  • ポリエステルは耐薬品性で有利な場合が多い

  • 用途により使い分けが必要


■ ナイロン(PA)との比較

  • ナイロンは吸水しやすいが柔軟性がある

  • ポリエステルは寸法安定性が高く電子部品に適する

用途・環境条件・コストを総合的に判断することが重要です。



9、ポリエステル樹脂の代表メーカー・ブランド

 

国内では、ポリエステル樹脂(PET・不飽和ポリエステルなど)を製造・販売するメーカーが複数存在します。
代表的な企業は以下の通りです。


■ 東レ株式会社

PET・PBTなどのエンジニアリングプラスチックを幅広く展開。フィルムや繊維用途でも国内最大級。


■ 三菱ケミカルグループ

PET・PBT樹脂、各種ポリエステル樹脂を製造。工業用途から包装材まで幅広く対応。


■ 帝人株式会社

PET・フィルム素材などを中心に展開。耐熱性や機能性を強化したグレードも多数。


■ DIC株式会社

不飽和ポリエステル樹脂をはじめ、塗料・接着剤用途のポリエステルを多数開発。

 


用途によって適した樹脂が異なりますので、メーカーごとのグレード特性を確認することが重要です。

 

 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、樹脂材料に関する基礎情報の提供や、
用途・条件に応じた材料選定のお手伝いを行っております。
関連する樹脂材料や加工・検討に関するご相談には、丁寧に対応させていただきます。

樹脂の種類や用途に迷われている場合、代替材料のご提案や特性比較のサポートも可能です。
お気軽にお問い合わせください。

 





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