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UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)とは?詳しく解説

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UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)とは?詳しく解説

産業分野において広く使用されている樹脂の一つが、UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)です。
非常に高い耐摩耗性と自己潤滑性、さらに優れた耐衝撃性を持ち、
他のエンプラでは対応しにくい過酷な環境でも性能を発揮する特殊なエンジニアリングプラスチックです。

特に搬送機械、食品機械、医療分野などでは、低摩擦かつ安全性の高い素材として採用されており、
軽量化・長寿命化・メンテナンス性の向上に大きく寄与しています。

本記事では、UHMW-PEの材質や特徴、長所と短所、加工方法、代表的な使用例、
さらにはメーカーごとのブランド比較や選び方のポイントまで詳しく解説します。

UHMW-PEを導入する際の基礎知識として、ぜひ参考にしてください。






  

1、UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)とは?

UHMW-PE(Ultra High Molecular Weight Polyethylene、超高分子量ポリエチレン)は、
ポリエチレンの一種でありながら分子量が数百万以上という非常に長い分子鎖を持つ樹脂です。

この長大な分子鎖により、他の樹脂では得られないほどの耐摩耗性・耐衝撃性・自己潤滑性を実現しています。

摺動部品、ライナー材、ガイドレールなど、摩擦や衝撃が課題となる場面で広く利用されており、
食品産業や医療分野でも安全性と清浄性から選ばれるケースが増えています。

特に注目すべきは、金属では困難な「低摩擦での長寿命使用」を実現できる点です。



2、UHMW-PEの材質

 

UHMW-PEは結晶性ポリオレフィンの一種であり、以下のような特徴的な分子構造を持ちます。

  • 分子量:数百万~数千万のレベル

  • 高い結晶性を持ちながら柔軟性を保持

  • 化学的に非常に安定し、酸やアルカリ、薬品にも強い

一般的なポリエチレン(HDPEやLDPE)と比較すると分子量が圧倒的に大きいため、
分子鎖の絡み合いによる高い強度と耐摩耗性を示します。

その反面、融点が比較的低いため、射出成形などの溶融加工は困難で、
主に圧縮成形や切削加工によって製品化されます。



3、UHMW-PEの主な特徴


UHMW-PEの代表的な特徴は以下の通りです。

  • 耐摩耗性:樹脂の中でもトップクラス。金属以上の耐久性を発揮することもある。

  • 低摩擦係数:自己潤滑性を持ち、摺動部に最適。潤滑油不要で使用可能。

  • 耐衝撃性:極低温でも割れにくく、耐衝撃性は全樹脂中でも最高レベル。

  • 耐薬品性:酸、アルカリ、溶剤に対して非常に安定。化学プラントや食品機械で活躍。

  • 耐寒性:-200℃近い低温下でも性能を維持。冷凍設備や極低温環境に適用可能。

  • 安全性:食品衛生適合グレードがあり、医療分野や食品分野でも安心して使用できる。

 

 

4、UHMW-PEの長所

 

UHMW-PEの優れた点を整理すると次の通りです。

  • 摩耗しにくく長寿命 → メンテナンスコスト削減に直結

  • 潤滑剤不要で使用可能 → 食品や医療機器に適合

  • 耐薬品性が高い → 酸・アルカリ環境下での使用に強い

  • 衝撃に強い → 金属では破損する場面でも安全性を確保

  • 低温特性に優れる → 液体窒素を扱う分野や冷凍設備で利用可能

  • 比重が小さい(軽量) → 搬送装置の軽量化や省エネルギー化に寄与

 

 

5、UHMW-PEの短所

 

一方で、UHMW-PEには以下のような短所も存在します。

  • 耐熱性が低い:連続使用温度は80℃程度。高温環境には不向き。

  • 成形加工が難しい:溶融粘度が非常に高く射出成形できないため、切削加工中心。

  • 接着が困難:分子構造上、接着剤が効きにくく、機械的固定が必要。

  • 寸法精度が出にくい:熱膨張率が大きく、精密加工では工夫が必要。

  • 紫外線に弱い:屋外での長期使用では劣化しやすい。


 

6、UHMW-PEの加工方法

 

UHMW-PEは一般的な熱可塑性樹脂と比べて加工方法が制限されます。
主な方法は以下の通りです。

  • 圧縮成形:原料粉末を金型に入れて加熱・加圧し、シートやブロック材を成形

  • 切削加工:金属用工作機械で削り出す方法が主流。高精度部品の製造に適している

  • 溶接:熱風溶接などによる接合が可能

  • 押出成形(限定的):ロッド材やプレート材など一部製品に利用

他の樹脂のような射出成形やブロー成形は基本的に不可能であり、
材料ブロックを削り出して使うケースがほとんどです。


 

7、UHMW-PEの代表的な使用例

 

UHMW-PEは以下のような分野で活用されています。

  • 搬送機械部品:ローラー、チェーンガイド、スプロケット

  • 食品機械:ライナー、ガイドレール、シュート(食品適合グレードが利用可能)

  • 医療分野:人工関節の摺動部、医療機器の部品

  • 化学プラント:薬液槽、ポンプ部品、シール材

  • 建設・土木:ライニング材、耐摩耗部材

  • 低温設備:冷凍機部品、極低温容器の断熱支持材

特に「摩耗に強く、潤滑不要」という特性から、金属の代替材料としての需要が拡大しています。




8、代表メーカー別UHMW-PEブランド比較

 

UHMW-PEは国内外のメーカーから供給されています。代表的なブランドは以下の通りです。

  • ニューライト(作新工業製)
    加工性に優れ、食品衛生適合グレードやカラー展開も豊富。搬送装置やライニング用途で実績多数。

  • タイバー(三菱ケミカル製)
    高品質かつ安定した物性を持ち、医療分野や産業機械で信頼性が高く、国内外で採用されている。

メーカーごとに強みが異なるため、用途や必要特性に応じた選定が重要です。


 

9、UHMW-PE製品の選び方チェックリスト

 

UHMW-PEを採用する際には、以下の観点から検討すると適切です。

  • 使用環境:温度、湿度、屋外使用の有無

  • 必要性能:耐摩耗性、耐衝撃性、耐薬品性のレベル

  • 加工方法:切削加工を前提に設計可能か

  • 安全性:食品衛生法や医療規格への適合が必要か

  • メーカー選定:ブランドの信頼性、供給体制の安定性


 

10、まとめ

 

UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)は、耐摩耗性・耐衝撃性・低摩擦特性に優れた、
特殊なエンジニアリングプラスチックであり、金属や他の樹脂では対応が難しい分野で活躍しています。

食品機械、医療分野、搬送設備など多岐にわたる用途で信頼され、今後も需要拡大が見込まれます。


木成ゴム株式会社では、

「UHMW-PEで部品を加工したい」
「最適な樹脂素材を探している」
「摩耗部品を長寿命化したい」
といったお客様のニーズに対応できる体制を整えております。

豊富な材料知識と加工実績をもとに、材料選定から試作・量産までトータルでサポートいたします。
まずはぜひお気軽にご相談ください。




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