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PE樹脂(ポリエチレン)とは?材質・特徴・使用例を解説

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PE樹脂(ポリエチレン)とは?材質・特徴・使用例を解説

産業分野において最も多く利用されている樹脂の一つが、PE樹脂(ポリエチレン)です。
世界的に見てもポリエチレンの生産量はプラスチックの中でトップクラスであり、
包装材や食品容器、パイプや電線被覆など、私たちの生活や産業のあらゆる場面で活躍しています。

PE樹脂は軽量で耐薬品性や耐水性に優れており、柔軟性や衝撃吸収性も兼ね備えた扱いやすい素材です。
そのため「汎用性の高いプラスチック」として、多くの業界で不可欠な存在となっています。

本記事では、PE樹脂の材質や特徴、長所と短所、加工方法、代表的な使用例、
さらには類似素材であるPPとの違いについて詳しく解説します。

PE樹脂の基礎知識から選び方のポイントまで網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

 






  

1、PE樹脂(ポリエチレン)とは?

PE樹脂(ポリエチレン)は、エチレンを重合して得られる熱可塑性樹脂です。
その最大の特徴は、軽量でありながら高い耐薬品性と耐水性を兼ね備えている点にあります。

比重は0.91~0.96と軽量で、吸水性がゼロに近いため、
水や薬品に触れる環境でも劣化しにくいのが大きな強みです。
さらに、柔軟性や衝撃吸収性があるため、包装材やフィルムとして特に広く利用されています。

また、ポリエチレンは分子構造の違いによって性質が変わり、
低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)といった種類に分けられます。
それぞれが異なる特性を持ち、用途に応じて選択されています。



2、PEの材質

 

PE樹脂は結晶性の熱可塑性樹脂であり、結晶化度や分子構造の違いによって多様な性質を示します。
代表的な種類は以下の通りです。

  • 低密度ポリエチレン(LDPE)
     分岐構造を持ち、柔軟性に優れたタイプ。包装フィルムや袋、ラップフィルムなどに多用されます。

  • 高密度ポリエチレン(HDPE)
     直鎖構造で結晶化度が高く、剛性と強度に優れたタイプ。パイプ、タンク、ボトルなどに利用されます。

  • 直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
     LDPEと同様に柔軟性を持ちながら、耐ピンホール性や耐衝撃性に優れるタイプ。

これらの種類を単独で使用するほか、複数をブレンドして用途に合わせた性能を引き出すことも多く行われています。



3、PEの主な特徴

 

PE樹脂の特性を整理すると、以下のようになります。

  • 軽量性:比重0.91~0.96とプラスチックの中でも軽い部類に入る。

  • 耐薬品性:酸やアルカリに強く、薬品容器やパイプに適用可能。

  • 耐水性:吸水性が極めて低く、水分による劣化がほとんどない。

  • 柔軟性:LDPEやLLDPEは柔らかく、衝撃吸収性が高い。

  • 電気絶縁性:絶縁特性が良好で、電線やケーブルの被覆材に利用される。

  • 成形性:押出成形、ブロー成形、射出成形など幅広い加工方法に対応可能。


 

4、PEの長所

 

PE樹脂が多くの分野で採用されるのは、以下のメリットがあるからです。

  • 非常に軽量で取り扱いやすい

  • 耐薬品性・耐水性が高く、腐食や劣化のリスクが少ない

  • 柔軟性と衝撃吸収性があり、安全性の高い製品設計が可能

  • 加工が容易で、大量生産に適している

  • リサイクルが可能で、環境配慮型の素材として注目されている

これらの特性により、PEは「汎用性と安全性を兼ね備えたプラスチック」として幅広く普及しています。

 

 

5、PEの短所

 

一方で、PE樹脂には弱点も存在します。

  • 耐熱性が低い:連続使用温度はLDPEで約70~80℃、HDPEでも100℃前後が限界。

  • 紫外線に弱い:屋外での長期使用では劣化(クラックや粉化)しやすい。

  • 剛性が低い:硬度や剛性が不足するため、機械的強度を求める部品には不向き。

  • 透明性が劣る:PEは白濁性があり、透明な製品を作りにくい。

そのため、PEは高温環境や透明性が求められる用途には適していません。
用途ごとの制約を理解して使う必要があります。


 

6、PEの加工方法

 

PE樹脂は加工性が高く、次のような方法で広く利用されています。

  • 押出成形:フィルム、パイプ、電線被覆材などを連続的に製造。

  • ブロー成形:ボトルやタンクなどの中空製品を効率的に製造可能。

  • 射出成形:キャップや小物部品などの精密成形品に利用。

  • 熱溶着・ヒートシール:包装フィルムや袋の接合に使用。

このように、用途に応じた加工方法を選択することで、多様な製品を効率よく製造することが可能です。


 

7、PEの代表的な使用例

 

PE樹脂は、私たちの生活のあらゆる場面で活躍しています。
代表的な使用例を挙げると以下の通りです。

  • 包装材:袋、ラップフィルム、ストレッチフィルム、農業用フィルム

  • 食品容器:ボトル、キャップ、タッパー、保存袋

  • 家庭用品:バケツ、収納ケース、洗面器、雑貨品

  • 医療用品:点滴バッグ、薬液容器、衛生用チューブ

  • 産業資材:パイプ、タンク、電線被覆材、建築資材

特に包装分野やインフラ分野での需要は年々増加しており、今後も市場拡大が見込まれています。




8、PEとPPの違い

 

PE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)は、どちらも汎用プラスチックに分類されます。
見た目が似ているため混同されやすいですが、性能や適した用途には明確な違いがあります。

  • 比重
     PEは0.91~0.96程度、PPは約0.90とわずかに軽量。

  • 耐熱性
     PPは100℃前後まで使用可能で耐熱性が高い。
     一方、PEは種類によって異なり、LDPEは70〜80℃、HDPEは100℃近くまで対応可能。

  • 耐薬品性
     両者とも優れるが、PEの方が酸やアルカリに対して安定性が高い。

  • 剛性と柔軟性
     PPは剛性や強度に優れ、しっかりした成形品が可能。
     PEは柔軟で衝撃吸収性に優れ、包装材やシート類に多用される。

  • 透明性
     PPは比較的透明な成形が可能。
     PEは白濁性が強く透明性が劣る。

まとめると

  • PP:剛性・耐熱性・透明性が必要な用途

  • PE:柔軟性・耐薬品性・衝撃吸収性が必要な用途

に使い分けられています。両者は競合するのではなく、互いに補完し合う関係にあります。


 

9、PE製品の選び方チェックリスト

 

PE樹脂を選定する際には、以下の点を確認すると適切です。

  • 使用環境(屋内か屋外か、温度条件はどうか)

  • 要求性能(耐薬品性、柔軟性、絶縁性など)

  • 加工方法(押出、ブロー、射出など対応可否)

  • コスト面(材料費・加工費・量産性を含めた判断)

  • 他樹脂との比較(PPやABS、PVCなどとの性能差)


 

10、まとめ

 

PE樹脂(ポリエチレン)は、軽量・耐薬品性・柔軟性に優れた汎用プラスチックで、
包装材や食品容器から産業資材まで幅広い分野で利用されています。

また、PPと比較すると柔軟性や耐薬品性に優れる一方で、剛性や耐熱性では劣るため、
両者の特性を理解して適切に使い分けることが重要です。

木成ゴム株式会社では、
「PE樹脂で部品を製作したい」
「最適な樹脂素材を探している」
「PEとPPのどちらを選ぶべきか迷っている」
といったお客様のニーズに対応できる体制を整えております。

豊富な材料知識と加工実績をもとに、材料選定から試作・量産までトータルでサポートいたします。
まずはぜひお気軽にご相談ください。




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