1. TOP
  2. メディア名
  3. 天然ゴムの弾性は?他材質との違いも詳しく解説

木成ゴム株式会社|樹脂、ゴム、金属、その他あらゆる材質を最適加工

天然ゴムの弾性は?他材質との違いも詳しく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
天然ゴムの弾性は?他材質との違いも詳しく解説

天然ゴムは、自動車部品や工業製品をはじめ、多くの製造現場で欠かせない素材です。
特に「弾性」が優れていることは広く知られていますが、
実際にはどのような特性があり、どんな用途に適しているのでしょうか。

また、合成ゴムなど他材質と比べた場合には、どのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、メーカーの調達担当者・購買担当者の方々が、素材選定の参考にできるよう、
天然ゴムの弾性に関する基本情報について分かりやすく解説します。
導入しやすいポイントから、注意すべき特性まで、幅広くご紹介します。




 

  

1、天然ゴムとは何か

天然ゴムとは、主にパラゴムノキの樹液から得られる高分子材料で、主成分はポリイソプレンです。
採取されたラテックスを凝固・精製することで固体ゴムとなり、工業用途向けに加工されます。

天然由来でありながら、機械特性が優れ、古くから幅広い分野で利用されてきました。
弾力性、柔軟性、復元力を備えつつ、安定した供給量も確保されているため、
多くの製造業にとって重要な素材として位置づけられています。

特にタイやマレーシアなど東南アジア地域が主要な生産国として知られています。





2、天然ゴムの弾性が優れている理由


天然ゴムの弾性は、ポリイソプレン鎖が持つ分子構造に起因します。
ゴム分子は、複雑に絡み合った鎖が伸びたり縮んだりしやすい構造を持ち、
外力が加わるとその鎖が延び、力がなくなると元の形に戻ろうとする性質が発揮されます。

この分子鎖の動きがスムーズであるため、変形後の復元性が高く、優れた弾性が実現されています。
他の合成ゴムと比較すると、分子運動性が特に高い点が、天然ゴムに特有な優れた弾性の源となっています。


 

3、天然ゴムの弾性に関する代表的な物性

 

弾性を語るうえで重要となる物性には、伸び、引張強さ、引裂き強さなどがあります。
天然ゴムは、これらのバランスが良いことが特徴です。特に引張強さと伸びの両方に優れ、
比較的大きく変形しても破断しにくい性質を備えています。

また、ゴムの柔らかさを示す硬さにおいても調整がしやすく、弾性の高い配合が行われやすい材料です。

反発弾性も高く、外力を効率よく跳ね返すため、振動吸収やクッション材料としても適しています。



4、温度環境と弾性の関係

天然ゴムの弾性は、温度によって大きく影響を受けます。
ゴムの弾性は、分子が動きやすいほど発揮されるため、
適した温度帯ではよく伸び、元の形に戻りやすくなります。

しかし、温度が極端に低くなると、ゴムの分子が凍ったように動けなくなり硬くなってしまいます。
この状態になると、伸ばそうとしても伸びにくく、弾性も低下します。
逆に、温度が高すぎる場合は、分子が動きすぎてしまうため、柔らかくなりすぎて形を保ちにくくなります。

つまり、天然ゴムは、
「常温付近が最も弾性を発揮しやすく、極端な低温や高温では性能が落ちる」、ことがポイントです。

使用環境の温度が、素材本来の特性を発揮できるかどうかを左右するため、
調達時の重要な確認事項になります。

 

 

5、摩耗や疲労に対する弾性の影響

 

弾性が高い天然ゴムは、繰り返し力が加わる環境でも、本来の形に戻ろうとする性質があります。
このため、力を何度も受ける部品でも「ひびが入りにくい」「破れにくい」というメリットがあります。

ただし、摩耗に関しては注意が必要です。
弾性が高いと衝撃を吸収できますが、摩擦そのものが強い環境では表面が削れてしまうことがあります。
例えば、粗い床面や砂粒が多い環境で擦れると、どうしても摩耗しやすくなります。

つまり、疲労には強い一方で、「強い摩擦」に対しては使用環境によって評価が異なる素材です。
弾性の高さが万能ではないため、使われる場所や条件を理解したうえで選定することが重要です。

 

 

6、天然ゴムと合成ゴムの弾性比較

 

弾性という一点に注目すると、天然ゴムは多くの合成ゴムより優れています。
伸びやすく、元の形に戻る力が強いため、柔らかさと強さのバランスがとれています。

一方、合成ゴムは、耐熱性・耐油性・耐候性など“特定の環境に強い”ように作られているものが多く
弾性だけで天然ゴムに勝るものは限られています。

そのため、


・弾性を最優先する場合は天然ゴム

・特定の薬品・油・屋外環境などへの耐性が必要な場合は合成ゴム

という選び方が一般的です。

つまり、「弾性は天然ゴムが得意、特殊環境には合成ゴムが得意」という分担があり、
素材選定ではどの性質を重視するかが重要になります。

 

 

7、天然ゴムが向いている用途
 

天然ゴムの弾性は、振動吸収、衝撃緩和、復元性が求められる製品で大きく活かされます。
代表的な用途には以下が挙げられます;

・タイヤ
・防振ゴム
・各種パッキン類
・ゴムベルト
・シール材
・グリップ材 など

機械部品や輸送機器分野だけでなく、日用品でも多く利用されています。
弾性に加えて、加工性が良く、量産に適している点も採用が進んでいる理由です。

 



8、天然ゴムの弾性が課題となる場合

 

天然ゴムは弾性に優れていますが、耐候性、耐油性、耐熱性などが課題となる場合があります。
特に屋外環境では、紫外線やオゾンにより劣化が進むことがあり、弾性が低下する可能性があります。

また、油分との接触が多い環境では膨潤し、物性が安定しない場合があります。

これらの特性を事前に理解し、使用環境に合った素材選びを行うことが重要です。




9、調達時に確認すべきポイント

 

天然ゴム製品を調達する際には、弾性だけを基準にせず、使用条件を詳細に確認することが大切です。
温度、湿度、薬品の有無、荷重の条件、求められる耐久性などを整理したうえで、
設計要求を明確に提示することがスムーズな選定につながります。

また、製品ごとに求められる硬度や形状精度の違いも確認しておくと良いでしょう。
信頼できる加工メーカーと連携し、適切な配合やグレードを選択することが、
長寿命かつ安定した製品供給につながります。

 
 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、天然ゴムをはじめとした各種ゴム材料の加工品を製造しております。
お客様のご要望に応じた材料選定や試作品の製作、品質安定した量産対応までサポートいたします。

用途に適した材質提案や技術的ご相談にもお応えし、製品の性能向上と安定供給に貢献いたします。
天然ゴムを含むゴム部品の調達をご検討の際は、どうぞお気軽に木成ゴム株式会社へお問い合わせください。

 




  • このエントリーをはてなブックマークに追加