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シリコンゴムの弾性は?他材質との違いも詳しく解説

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シリコンゴムの弾性は?他材質との違いも詳しく解説

工業製品や生活用品に幅広く使用されているシリコンゴムは、
耐熱性や柔軟性、電気特性などに優れた材料として知られています。
また、その「弾性」も魅力の一つであり、
さまざまな環境下でも形状を維持しながら変形と復元を繰り返すことができます。

しかし、弾性と一口に言っても材質によって性質が異なり、条件次第でパフォーマンスが変わることもあります。

本記事では、シリコンゴムの弾性に焦点を当て、他ゴム材質との違い、
弾性を評価する際のポイント、用途を踏まえた選定の考え方について分かりやすく解説します。

メーカーの調達担当者・購買担当者様が材質選定を行う際の参考となれば幸いです。




 

  

1、シリコンゴムとは

シリコンゴムは、シリコーン樹脂をベースとした合成ゴムで、
高温・低温の両極端な環境に強いという非常に優れた特性を持っています。

ガラスや金属と比べて柔らかく、一般の有機系ゴムと比較しても化学的に安定しているため、
食品・医療分野などでも活用されています。

また、無臭・無毒性といった性質もあり、衛生的な材料として扱われることが多い点も特徴です。
この基礎特性が、弾性にも影響を与えています。





2、シリコンゴムの弾性の特徴


シリコンゴムの弾性は、低温でも硬くなりにくく、高温でも柔らかくなりすぎないという点が強みです。
マイナス50℃付近から200℃以上まで、比較的広い温度範囲で柔軟性を維持します。

変形した際の復元力が安定しているため、
過酷な温度下で繰り返し圧縮や曲げが行われる製品に採用されています。

ただし、一般的に引張強さは天然ゴムやウレタンゴムよりも劣る場合があり、
高い荷重が加わる環境や耐摩耗性が求められる用途には不向きなことがあります。

つまり、弾性は優れるが強度は中程度という理解が適切でしょう。


 

3、シリコンゴムの弾性が発揮される条件

 

弾性はゴム全般における重要特性ですが、その性能は使用条件で変化します。
シリコンゴムの弾性が最大限活かされる環境は以下のような状況です。


・高温や低温下での繰り返し変形

・人体や食品に触れる安全性が必要な場面
・柔軟性を長期維持したい場合

逆に油分や溶剤との接触が多いと膨潤し、弾性が損なわれることがあります。
選定時には周囲環境を十分に考慮する必要があります。



4、主要なゴム材質と比較した弾性の違い

シリコンゴムは他材質と比較して、温度影響が小さいという大きな利点があります。

例えば、天然ゴムは低温下で硬くなり、合成ゴムの多くは高温下で弾性が低下します。
一方、シリコンゴムは温度変化が大きくても柔軟性と復元性を維持できるため、
幅広い用途で安定的に使用されます。

ただし、同じ「弾性」という分類でも、

・衝撃吸収性

・伸び(破断伸び)
・耐摩耗性

といった細かな違いがあるため、用途との相性で最適な材質を慎重に選ぶ必要があります。



 

 

5、シリコンゴムの弾性に影響する要素

 

弾性には配合や製造工程が影響しますが、一般的な要素としては以下が挙げられます。

・架橋密度(硬度)

・温度環境
・添加剤の種類
・経年劣化

架橋密度が高いほど硬くなり、弾性は低下します。
一方、柔らかすぎると耐久性に不安が残るため、製品ごとに適切なバランスの検討が必要です。

 

 

6、硬度による弾性特性の違い

 

シリコンゴムの弾性を理解するうえで、「硬度」はとても重要な指標です。
硬度とは、ゴムの“硬さ”を示す値で、一般的にはJIS Aという規格で測定されます。
数字が小さいほど柔らかく、大きいほど硬い材料になります。

同じ材質でも硬度が違うだけで弾性の感じ方が大きく変わります。

まず、硬度が低いシリコンゴムは、指で押すと沈み込みやすい柔らかさがあります。
変形しやすいため、軽い力でも曲がったり押し込んだりでき、
押しボタンやクッション材のように「よく曲がる」動きを求める用途に向いています。
ただし、その分、荷重が強く加わる場面では形状を保つ力が弱く、耐久性が低くなることがあります。

一方、硬度が高いシリコンゴムは、押してもあまり沈まず、しっかりした感触があります。
変形が少ないため、パッキンなどのように一定の形を保ちながら機能させたい用途で使用されます。
ただし、硬くなるほどしなやかさが減り、繰り返し大きく変形させる用途には不向きになる場合があります。

このように、柔らかさと硬さにはそれぞれのメリット・デメリットがあり、
求められる弾性の方向性に合わせて硬度を選ぶことが重要です。


同じシリコンゴムでも硬度1つで使い勝手が大きく変わるため、
用途に応じて適切な硬度を選定することがポイントになります。

 

 

7、シリコンゴムが使用される代表的な用途
 

弾性が活かされる用途の一例として以下が挙げられます。

・パッキンやシール材

・医療用チューブや衛生用品
・キーパッド(押しボタン)
・緩衝材、耐熱パーツ
・家電や自動車部品

特にボタンの押し心地、シール性の維持など、変形と復元を繰り返す場面で信頼性を発揮します。

 



8、材質選定時のポイント

 

調達・購買担当者様が検討すべき観点は以下の通りです;

・使用温度範囲と使用環境(油・薬品・屋外など)

・耐久性と必要な弾性のバランス
・硬度や経時変化の可能性
・食品規格や安全性の有無

弾性が優れていても、環境に不適合な場合は想定性能が発揮できません。
用途と材質特性のマッチングが重要です。




9、シリコンゴムの注意点と課題

 

便利な特性を多数備えたシリコンゴムですが、検討の際に注意すべき一般的な課題も存在します。

・耐摩耗性が高くない

・引張強さは他材質より劣ることが多い
・油や有機溶剤に弱い場合がある
・コストが比較的高い

これらを理解したうえで適切な用途に採用することが求められます。

 
 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、用途に応じたシリコンゴム製品の製作をお受けしております。
弾性を含む物性に関しては、お客様のご要望に沿った素材選定をサポートし、
試作から量産まで対応可能です。

各種ゴム部品の製作に関するご相談やお見積りのご依頼にも丁寧にお応えいたしますので、
まずはお気軽にお問い合わせください。

 




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