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ゴムの弾性とは?選定ポイントも詳しく解説

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ゴムの弾性とは?選定ポイントも詳しく解説

ゴム製品は、日常用品から産業機器部品まで幅広く使用されていますが、その最大の特徴は「弾性」です。
引っ張られても、押しつぶされても、力を取り除けば元の形に戻ろうとする性質こそが、
ゴムが他素材では代替できない価値を生み出しています。

弾性は、シール性・クッション性・耐疲労性など、製品機能に直結する重要な物性であり、
材料選定において必ず確認すべき項目です。

本記事では、ゴムの弾性の基本概念から、弾性が必要とされる用途、材質別の一般的な弾性の違い、
さらには弾性を評価する際の押さえておきたいポイントまで、調達担当者・購買担当者の方に向けて解説します。

ぜひ最後までご覧いただき、最適な材質選定にお役立てください。




 

  

1、ゴムの弾性とは

ゴムの弾性とは、変形後に元の形へ戻ろうとする性質を指します。
力を加えると大きく伸びたりへこんだりする一方、力を取り除けば素早く回復することが特徴です。

この性質により、衝撃吸収材、シール材、振動防止部材などで、長年にわたり多くの製品で採用されています。

弾性は、ゴム製品に「しなやかさ」「密着性」「復元力」を与え、機能性能に直結する重要な特性といえます。



2、ゴムが弾性を持つ理由(高分子特性)


ゴム分子は、長く連なった高分子鎖で構成されており、通常はランダムに丸まった状態で存在します。
引っ張られると、その鎖が一時的に伸びますが、力を取り除くと再び元の絡み合った形に戻ろうとします。

この「高分子鎖の規則性への復元」が弾性の源です。
さらに、架橋と呼ばれる分子同士の結びつきがあることで、永久変形を防ぎ、戻る力を高めます。

つまり、

●柔軟な分子構造

●適度な架橋密度

が弾性の高さを支えています。


 

3、引張弾性と圧縮弾性の違い

 

弾性と一言で言っても、どの方向へ変形するかで評価は異なります。

●引張弾性
引っ張った際の復元性。伸び率などで評価。

●圧縮弾性
押しつぶされた際の復元性。圧縮永久ひずみなどで判断。

用途によって必要な弾性は異なるため、評価方向を意識した選定が欠かせません。

例:
・Oリング → 圧縮弾性が特に重要
・ゴムバンド → 引張弾性が重要



4、ゴム弾性の代表的な評価指標

弾性評価の指標には以下が一般的に用いられます。

・伸び率
・引張応力
・引張強さ
・硬さとのバランス
・圧縮永久ひずみ
・反発弾性
・疲労特性

これらは仕様書や図面で数値指定されることが多く、調達担当者にとって理解しておくべき項目です。

 

 

5、主なゴム材質と一般的な弾性の違い

 

ここでは代表的なゴム材質の傾向を紹介します。


・天然ゴム(NR)

最も弾性が高く、反発力も優れる。疲労にも強い。


・EPDM

耐候性とバランスした高い弾性が特徴。屋外用途に適する。


・シリコンゴム

柔らかく、低温でも弾性を維持しやすい。


・ニトリルゴム(NBR)

耐油性と引張弾性のバランスが良い。


・フッ素ゴム(FKM)

高温耐性は高いが、弾性はNRに比べて低い傾向。


用途環境により、弾性だけではなく耐熱性・耐油性なども併せた総合判断が必要です。



 

 

6、弾性が求められる代表的な用途例

 

弾性は多くの機能を支えています。

・シール材(Oリング、パッキン)
密着して隙間を防ぐために復元力が重要。


・防振材(マウント、ダンパー)

振動を吸収するクッション性が要求される。


・グリップ材

適度な柔軟性が手に馴染む感触をつくる。


・医療・食品用途部品

変形しながら確実に密封または固定する。


必要な弾性の方向や回復スピードも用途に応じて異なります。

 

 

7、弾性と硬さの関係
 

弾性と硬さは混同されやすいですが、実際にはまったく別の性質です。

硬さ
・押したときにどれくらいへこむかを示す
・柔らかい/硬いという「感触」に関係する
・ショアA硬さなどで表される

弾性
・変形した後、どれくらい元の形に戻るかを示す
・復元力、回復の速さに関係する

つまり、
「硬い=弾性が高い」ではない という点が非常に重要です。

例えば、
・柔らかくても元に戻りにくければ弾性は低い
・硬いゴムでも、押した後すぐに形が戻るなら弾性が高い

実際の選定では「硬さの数値」だけを見ると、弾性の違いに気づけない場合があります。
シール材やクッション材などでは、感触ではなく 復元力の高さが最重要 となるため、
硬さと一緒に「どれだけ元に戻れるか(弾性)」も確認する必要があります。

 



8、弾性と温度環境の関係

 

ゴムの弾性は、温度によって大きく変化します。
これはゴム分子が温度に敏感で、動き方が変わるためです。

低温になるとどうなる?
・分子の動きが小さくなる
・硬くなり、しなやかさが失われる
・伸びなくなり、元に戻りにくくなる

簡単に言うなら、冷凍庫に入れた輪ゴムのような状態です。

高温になるとどうなる?
・分子の動きが活発になる
・柔らかくなるが、元に戻る力は弱まる
・永久変形が発生しやすくなる

つまり、どんなに弾性が高いゴムでも、温度環境が使用範囲を超えれば性能を保てません。

材質ごとに「弾性を維持しやすい温度範囲」は大きく異なります。
例えば、シリコンゴムは低温でも弾性を保ちやすく、
逆にフッ素ゴムは高温では強いものの低温では硬化しやすいなどの違いがあります。

調達時には、
「常温では弾性が良くても、実際の使用温度でも同じ性能が得られるか?」
を確認することも重要です。




9、弾性と経年劣化の関係

 

ゴムは時間が経つと劣化し、弾性を失います。
これはどんな材質でも避けられず、「弾性の低下=機能低下」と直結するため重要なポイントです。

ゴムが劣化するとどうなる?
・硬くなる
・ひび割れが発生しやすくなる
・伸びが悪くなる
・元の形に戻る力が弱くなる
・圧縮したまま戻らないことが増える

つまり「復元力」が弱まり、結果としてシール性や密着性が失われます。

劣化を進める主な要因
・熱(高温環境)
・紫外線(屋外や日光が当たる場所)
・オゾン(空気中に微量に存在)
・湿気
・化学薬品接触
・酸素との反応(自然酸化)

例えば、屋外で長期間使用されるゴム部品は、日光にさらされることで徐々に硬くなり、
最終的にはひび割れが発生します。

また、シール材は圧縮されたまま劣化すると、戻る力が落ちて「隙間」が生まれ、漏れの原因になります。

調達時は、
使用環境がゴムの弾性にどの程度影響するか
を把握し、用途に合った材質を選ぶことが必要です。

 
 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、用途や環境に応じて適切なゴム材質をご提案し、
弾性や耐久性などの重要物性についても、安心してお任せいただける製品製作が可能です。
図面や仕様に基づいたゴム製品の製造・加工にて、お客様の品質要求にお応えいたします。

「この環境で使用できるゴム材質は?」「弾性性能を維持できるだろうか?」
といったお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

貴社の調達業務に、木成ゴム株式会社が少しでもお役立ちできましたら幸いです。

 




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