1. TOP
  2. メディア名
  3. お役立ち情報
  4. PEEK樹脂の耐薬品性は?他材質との違いも詳しく解説

木成ゴム株式会社|樹脂、ゴム、金属、その他あらゆる材質を最適加工

PEEK樹脂の耐薬品性は?他材質との違いも詳しく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
PEEK樹脂の耐薬品性は?他材質との違いも詳しく解説

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂は、
スーパーエンジニアリングプラスチックに分類される高性能樹脂です。
優れた耐熱性、機械的強度、耐摩耗性、耐放射線性などを備えており、
金属代替材料として航空宇宙、自動車、半導体、医療、化学設備など幅広い分野で使用されています。

特にPEEK樹脂の大きな特徴の一つが、非常に高い耐薬品性です。
強酸や有機溶剤など、多くの薬品に対して安定した性能を維持できるため、
過酷な薬品環境で使用される部品にも採用されています。

しかし、どのような薬品に対しても完全に影響を受けないわけではなく、
使用条件によっては注意が必要な場合もあります。
また、PTFEやPPS、POMなど他の樹脂と比較すると、それぞれ異なる特徴があります。

本記事では、PEEK樹脂の耐薬品性について一般的な特性を解説するとともに、
具体的にどの薬品に強く、どの薬品に注意が必要なのか、さらに他材質との違いについて詳しく紹介します。

 





 

  

1、PEEK樹脂とは

PEEK樹脂は、芳香族ポリエーテルケトン系に分類されるスーパーエンプラです。

高温環境でも高い機械的強度を維持できることが特徴で、
連続使用温度は一般的に約250℃程度とされています。

また、耐摩耗性や低クリープ性にも優れており、
金属部品の代替材料として利用されることもあります。

さらに、難燃性や耐放射線性にも優れるため、
通常の樹脂では対応が難しい過酷な環境で採用されています。

一方で、PEEK樹脂は高性能である反面、材料価格が比較的高いため、
求められる性能とのバランスを考慮した選定が重要です。



2、PEEK樹脂の耐薬品性の特徴


PEEK樹脂は、数ある樹脂材料の中でも非常に高い耐薬品性を持つ材料です。

その理由は、芳香族環を含む安定した分子構造と、
高い結合エネルギーを持つエーテル結合・ケトン結合によって構成されているためです。

一般的な酸、アルカリ、有機溶剤、油類などに対して優れた耐性を示し、
長期間薬品に接触する環境でも物性変化が少ないという特徴があります。

また、吸水率も低いため、水や湿度による寸法変化が小さく、精密部品にも適しています。

ただし、非常に高温の濃硫酸など、一部の特殊な薬品環境では影響を受ける場合があります。


 

3、PEEK樹脂が強い薬品

 

PEEK樹脂は、以下のような幅広い薬品に対して高い耐性を示します。

塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸については、一般的な濃度・温度条件で優れた耐性があります。

水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性薬品にも比較的強く、
酸・アルカリ双方に対応できる点が大きな特徴です。

また、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、酢酸エチルなどの有機溶剤にも高い耐性を持っています。

トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素にも安定しています。

さらに、ガソリン、軽油、作動油、潤滑油などの油類にも強く、自動車や産業機械分野で使用されています。

アルコール類についても、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどに対して良好な耐性を示します。



4、PEEK樹脂が注意すべき薬品

 

PEEK樹脂は非常に高い耐薬品性を持っていますが、一部の薬品では注意が必要です。

代表的なのが濃硫酸です。
特に高濃度の硫酸ではPEEK樹脂が侵される可能性があります。

また、強力な酸化剤である高濃度の硝酸や過酸化物などでは、条件によって劣化する場合があります。

さらに、フェノール類や一部のハロゲン化溶剤など、
PEEKの分子構造に影響を与える特殊な薬品環境では注意が必要です。

ただし、これらは一般的な工業用途では限定的な条件であり、
多くの薬品環境ではPEEK樹脂の高い耐薬品性が発揮されます。

 

 

5、薬品によるPEEK樹脂の劣化現象

 

PEEK樹脂は薬品による劣化が非常に少ない材料ですが、条件によっては変化が発生します。

代表的なものとして、表面の変色や光沢低下があります。

また、特殊な薬品や高温環境では表面が侵され、強度低下につながる場合があります。

ただし、ABS樹脂やポリカーボネートなどで問題となる有機溶剤による応力割れは、
PEEK樹脂では発生しにくいという特徴があります。






 

 

6、温度や濃度による耐薬品性の違い

 

PEEK樹脂は高温環境でも耐薬品性を維持しやすい材料です。

一般的な樹脂では温度上昇によって薬品への耐性が低下しやすくなりますが、
PEEKは高い耐熱性を持つため、高温薬液環境でも使用されています。

ただし、薬品濃度が極端に高い場合や、高温状態で長期間接触する場合には影響を受ける可能性があります。

特に濃酸や強い酸化性薬品では、温度上昇によって反応性が高まるため注意が必要です。



 

7、他の樹脂との耐薬品性の違い 

 

PEEK樹脂は、一般的なエンプラと比較して非常に高い耐薬品性を持っていますが、
他の材料にもそれぞれ特徴があります。


PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、耐薬品性において最も優れた樹脂の一つです。
ほぼすべての酸・アルカリ・有機溶剤に対して高い耐性を示し、薬品への安定性ではPEEKを上回る部分があります。
一方で、PTFEは機械的強度や耐クリープ性がPEEKより低く、
高荷重部品や精密機械部品ではPEEKが選ばれるケースがあります。

PPS(ポリフェニレンサルファイド)は、耐熱性や耐薬品性に優れたスーパーエンプラです。
酸やアルカリ、有機溶剤への耐性は高く、PEEKと比較されることも多い材料です。
ただし、耐衝撃性や靭性ではPEEKが優れており、機械的負荷が大きい用途ではPEEKが有利です。

POM(ポリアセタール)は、耐摩耗性や摺動性に優れ、ギアや軸受部品に多く使用されます。
油類や燃料には強いものの、強酸や強アルカリには弱く、耐薬品性の範囲ではPEEKが大きく上回ります。

PA66(ポリアミド66)は、強度や耐摩耗性に優れた材料ですが、
吸水性があり、水分による寸法変化が発生しやすい特徴があります。
また、強酸環境では劣化しやすいため、化学薬品用途ではPEEKの方が適しています。

PBT(ポリブチレンテレフタレート)は、
寸法安定性や電気特性に優れ、自動車・電子部品で広く使用されています。
油類や燃料には比較的強いですが、高温アルカリや強酸では加水分解のリスクがあります。
PEEKはより広範囲の薬品環境に対応できます。

PP(ポリプロピレン)PE(ポリエチレン)は、酸・アルカリ・塩類に非常に強く、
薬液タンクや配管材料として多く利用されています。
しかし、耐熱性や機械強度ではPEEKが優れており、高温・高荷重環境ではPEEKが選ばれます。

このように、PEEK樹脂は耐薬品性だけでなく、耐熱性、強度、耐摩耗性を総合的に備えた材料です。
単純な薬品耐性だけでなく、使用温度や機械的負荷を考慮すると、他樹脂との差が明確になります。

 



8、PEEK樹脂が使用される代表的な用途

 

PEEK樹脂は、高い耐薬品性と耐熱性を活かして、さまざまな分野で使用されています。

代表例として、半導体製造装置部品、化学プラント部品、ポンプ部品、
バルブ部品、シール部品、ベアリング、航空機部品、医療機器部品などがあります。

特に、薬品・高温・高圧など厳しい環境で使用される部品に適しています。




9、PEEK樹脂を選定する際の注意点

 

PEEK樹脂を選定する際は、薬品への耐性だけでなく、
使用温度、荷重、摩擦条件、必要寿命なども考慮する必要があります。

また、PEEKには純粋なバージン材だけでなく、
ガラス繊維入り、カーボン繊維入り、摺動グレードなどさまざまな種類があります。

用途によって適したグレードが異なるため、使用環境に合わせた材料選定が重要です。

 
 

10、まとめ

 

PEEK樹脂は、酸・アルカリ・有機溶剤・油類など幅広い薬品に対して優れた耐性を持ち、
耐熱性や機械的強度にも優れた高性能材料です。
一方で、特殊な高濃度薬品環境では注意が必要であり、PTFEやPPSなど他の材料との比較検討も重要になります。

木成ゴム株式会社では、各種樹脂・ゴム材料に関するご相談や、
用途に適した材料のご提案、加工品の製作まで幅広く対応しております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。

 



  • このエントリーをはてなブックマークに追加