1. TOP
  2. メディア名
  3. お役立ち情報
  4. ベークライトとは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

木成ゴム株式会社|樹脂、ゴム、金属、その他あらゆる材質を最適加工

ベークライトとは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ベークライトとは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

ベークライト(Bakelite)は、世界で初めて工業化された合成樹脂として知られ、
現在でも電気部品・機械部品・産業用途など、幅広い分野で使用されている高性能な熱硬化性樹脂です。
耐熱性・機械強度・電気絶縁性に優れ、環境に左右されにくいことから、
樹脂材料の中でも特に“堅牢で信頼性の高い素材”として評価されています。

本記事ではベークライトの材質特性から種類(布ベークライト・紙ベークライト)、加工方法、
使用例、代表メーカーまで、初めての方にも理解しやすいように詳しく解説します。






  

1、ベークライトとは?

ベークライトは、フェノール樹脂をベースにした熱硬化性樹脂で、
硬化すると熱や薬品に強く、寸法安定性に優れた素材です。


1909年にレオ・ベークランド博士が開発し、名前は発明者の姓に由来します。

熱可塑性樹脂とは異なり、一度硬化すると溶けたり軟化したりしないため、
高温環境でも形状が変わらないことが大きな特徴です。



2、ベークライトの材質構造

 

ベークライトはフェノール樹脂に補強材(紙・布など)を含浸させて加熱・圧縮成形した材料です。
成形後は三次元的な網目構造を持つため、強度・剛性・耐熱性が非常に高くなります。

■ 基本構成

  • フェノール樹脂(母材):熱硬化性で高耐熱

  • 補強材:紙・布・ガラス繊維など

  • 添加剤:潤滑剤・着色剤など

構造が緻密で、耐熱・耐油・電気絶縁性など、多くの分野で求められる特性を備えます。



3、ベークライトの主な特徴

 

ベークライトが産業用途で高く評価される理由は以下の通りです。

● 高い耐熱性

使用温度150℃以上でも形が崩れず、電気・機械用途で活躍します。

● 優れた電気絶縁性

湿度の影響を受けにくく、絶縁材料として古くから採用されています。

● 高剛性・高強度

補強材が入ることで非常に強く、摩耗にも強い。

● 寸法安定性

温度変化・湿度変化に左右されにくく、精密部品にも使われる。

● 耐薬品性

油・アルコール・溶剤などにも比較的強い。

 

 

4、ベークライトの種類

 

ベークライトには複数の種類がありますが、
特に産業用途でよく使われるのが「布ベークライト」と「紙ベークライト」です。

4-1. 布ベークライト(布入りフェノール)

布(綿布)にフェノール樹脂を含浸し、加熱・圧縮して製造する素材です。

● 特徴

  • 強度が非常に高く、耐衝撃性に優れる

  • 摩耗に強く、摺動部品として使用可能

  • 剛性が高く、重荷重にも耐える

● 主な用途

  • 歯車

  • ベアリング部品

  • プーリー

  • 工業機械の摺動部品

  • 電気端子台

布ベークライトは、力がかかる場所や摩耗が発生する部品に最適です。

 

4-2. 紙ベークライト(紙入りフェノール)

紙を補強材としたフェノール樹脂積層板で、成形しやすく、軽量で電気絶縁性に優れます。

● 特徴

  • 軽量で加工性が良い

  • 絶縁性が高く電気部品で多用

  • 成形後の寸法精度が高い

  • 比較的安価で大量生産向き

● 主な用途

  • 電気スイッチ部品

  • コイルボビン

  • 絶縁板

  • ケース類

  • 家電パーツ

軽くて成形しやすいことから、電気絶縁・筐体部品として広く使用されます。

 

 

5、ベークライトの主な加工方法

 

ベークライトは熱硬化性樹脂のため、溶かして再成形することはできません。
主に次の加工方法が用いられます。


● 圧縮成形

粉末樹脂やシート状材料を金型に入れ、加熱圧縮して成形する。


● 切削加工(旋盤・フライス・マシニング)

積層板を素材として、必要な形状に切削加工する。
布ベークライトは強度があるため切削での厚物加工が多い。


● 打ち抜き加工

薄い紙ベークライト板を金型で打ち抜き、絶縁板などを大量生産。


● 穴あけ・タップ加工

電気部品固定用の穴加工などでよく行われる。


 

6、ベークライトの使用例 



■ 電気・電子部品

  • スイッチ部品

  • コネクタハウジング

  • 絶縁プレート

  • トランスのボビン

■ 機械・工業部品

  • 歯車

  • ブッシュ

  • ガイド部品

  • プーリー

■ 日用品

  • 鍋の取っ手

  • アンティーク家電の部材

  • 装飾品・アクセサリー

ベークライトは外観の質感もよく、アンティーク調のデザイン素材としても人気があります。

 


 

7、ベークライトのメリット・デメリット

 

■ メリット

  • 高耐熱

  • 高絶縁性

  • 高強度・高剛性

  • 摩耗に強い

  • 寸法安定性が高い

  • 表面硬度が高い

  • 電気・機械どちらにも適用可能

■ デメリット

  • 一度硬化すると再成形ができない

  • 荒れた切削面が出やすい(特に布ベークライト)

  • 衝撃で割れやすい場合がある

  • 色は基本的に茶系で、デザイン性の自由度は低い



8、代表メーカーとブランド

 

■ 住友ベークライト株式会社

日本で最も有名なベークライトメーカーであり、世界的にもトップクラスのシェアを持ちます。
同社のベークライトは以下の特徴を持ちます。

  • 電気絶縁性に優れ、電子部品で高い信頼性

  • 車載向け材料として高耐熱グレードを展開

  • 布ベークライト・紙ベークライトともに豊富なラインナップ

  • 成形加工性に優れ、射出成形用グレードも多数

 


■ その他の国内メーカー

  • 三菱エンジニアリングプラスチックス

  • 積水化学工業(積層材料)

  • タキロンシーアイ(工業用材料)



9、ベークライトと他樹脂の比較

 

● ベークライト vs エポキシ樹脂

ベークライトは剛性・耐熱に優れるが、エポキシは接着性・耐薬品性が高い。


● ベークライト vs 熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂は再溶融が可能で成形しやすいが、耐熱・剛性はベークライトが上。


● ベークライト vs PPS・PEEKなどの高機能樹脂

高機能樹脂は耐熱・耐薬品性に優れるが価格が高い。
ベークライトは“コストを抑えつつ高耐熱を得たい場面”に適している。

 

 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、ベークライト(布ベークライト・紙ベークライト)の、
切削加工・旋盤加工、 等に幅広く対応しています。


長年の経験に基づく材料選定から、試作・量産まで一貫してサポートいたします。

  • 切削加工

  • 電気絶縁部品の製作

  • 材料選定の支援


「最適な種類はどれか?」「この条件で使用できるか?」など、設計段階でのご相談も歓迎しています。

ベークライトの加工でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 





  • このエントリーをはてなブックマークに追加