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木成ゴム株式会社|樹脂、ゴム、金属、その他あらゆる材質を最適加工

布ベークとは?紙ベークとの違いも詳しく解説

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布ベークとは?紙ベークとの違いも詳しく解説

布ベークは、産業用の絶縁材料や機械部品として長年使用されてきた信頼性の高い樹脂素材です。
特に電気絶縁性・耐摩耗性・機械的強度に優れ、過酷な環境でも安定した性能を発揮します。

同じフェノール樹脂系積層板には「紙ベーク」もあり、それぞれ特性や適した用途が異なるため、
違いを理解しておくことで、最適な素材選定が可能になります。

本記事では、布ベークとは何か紙ベークとの違い特徴・用途などを、専門的かつ分かりやすく解説します。
最後には加工や選定のポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。






  

1、布ベークとは?

布ベークとは、フェノール樹脂を綿布に含浸し、加熱圧縮して作られる積層材料のことです。
一般的には「布ベークライト」とも呼ばれ、フェノール樹脂を基材に用いた絶縁材料の中でも、
特に高い機械強度と耐摩耗性を持つ素材として知られています。

布ベークの大きな特徴は、基材に布(綿布)を使用している点です。
布の繊維構造が樹脂と強固に結合し、衝撃や摩擦に強く、稼働部品や高荷重がかかるパーツにも安定して使用できます。

電気・機械分野で広く普及しており、スイッチ部品、産業機器の摺動材、ロボット部品など、
さまざまな現場で利用されています。



2、布ベークの製造方法

 

布ベークは、下記のような工程で製造されます。


①綿布にフェノール樹脂を含浸させる

綿布をフェノール樹脂液に浸し、樹脂を繊維の奥までしっかり浸透させます。含浸の均一性が製品の品質に直結します。


②乾燥工程

樹脂が均等に広がった状態で乾燥させ、半硬化状態の「プリプレグ」を作ります。これは積層用のシートです。


③積層・プレス工程

プリプレグを必要な厚みに積み重ね、加熱しながら高圧をかけます。この工程で布と樹脂が一体化し、高密度の積層板になります。


④仕上げ加工

固化後、板状(シート)や丸棒、角材など、さまざまな形状へ切削加工されます。


これらの工程により、布ベークは 強度・耐熱性・耐摩耗性に優れた工業材料 となります。



3、布ベークの主な特徴

 

布ベークの特性は、綿布とフェノール樹脂が融合した構造により生まれます。


●高い機械的強度

布繊維の層構造により、衝撃や繰り返し荷重に強く、耐久性が高い素材です。


●優れた耐摩耗性

摺動部や擦れが発生する部分でも長寿命で使えます。


●良好な電気絶縁性

フェノール樹脂系の積層材として、電気絶縁性が安定しており電気機器部品に最適です。


●熱による寸法安定性

熱変形が小さく、熱環境下でも安定した性能を維持します。


●加工が容易

旋盤・フライス・穴あけなど一般的な切削加工に適しており、複雑形状の部品も作りやすい素材です。

 

 

4、紙ベーク

 

紙ベークとは、紙を基材にフェノール樹脂を含浸・積層して作られる積層板です。
布ベークと同じくフェノール樹脂を基材にしていますが、「紙」を使うことで以下のような特徴があります。


●軽量で扱いやすい

布ベークと比較して密度が低く、軽量な素材です。


●コストが低い

紙を基材にしているため、材料コストが安く、多くの電気絶縁用途で使用されています。


●切削加工性が良い

布ベークよりも柔らかく、バリが出にくいため加工も簡単です。


●電気絶縁性に優れる

紙繊維による均一構造が理由で、電気絶縁材として定番です。

ただし、強度や耐摩耗性は布ベークには劣るため、高荷重や摺動用途には向きません。

 

 

5、布ベークと紙ベークの違い

 

布ベークと紙ベークは同じフェノール樹脂ベースですが、使用する基材が異なるため特性に大きく差があります。


●強度の違い

  • 布ベーク:綿布ベースで、機械的強度が非常に高い

  • 紙ベーク:紙ベースで、軽量・低コストだが強度は比較的低い


●耐摩耗性の違い

  • 布ベークは高い摩耗耐性を持ち、摺動部品に適する

  • 紙ベークは耐摩耗用途には向かない


●用途の違い

  • 布ベーク:ギア、プーリー、産業機械の摺動部品

  • 紙ベーク:電気絶縁材、基板、軽負荷の部品


●加工性の違い

  • 布ベーク:やや硬く加工は中程度

  • 紙ベーク:柔らかく加工が容易


●コストの違い

  • 布ベーク:やや高価

  • 紙ベーク:低価格


用途に応じて、どちらが適しているか判断することが重要です。


 

6、布ベークの主な種類 



布ベークには下記のようなタイプがあります。


●綿布フェノール積層板(一般グレード)

標準的な布ベークで、多くの産業用途に使用されます。


●耐熱グレード

高温環境に耐えるよう調整されており、モーターや発熱部品周辺に使用されます。


●耐摩耗グレード

摺動性を向上させ、ベアリング材や摩擦プレートとして使用されることが多いグレードです。


用途に合わせて適切なグレードを選定することで、性能を最大限に引き出すことができます。

 


 

7、布ベークの代表的な用途

 

布ベークは強度・耐摩耗性の高さから、多くの機械部品や電気部品に使われています。

●ギア(歯車)
静音性に優れ、潤滑なしでも長期間使用が可能。


●プーリー・ローラー

軽量で摩耗に強く、金属よりも騒音が少ないのがメリット。


●ベアリング・摺動プレート

摩擦に強く、潤滑剤が使いにくい環境でも使用できます。


●絶縁板・配電盤部品

電気絶縁性が求められる部品に最適。


●ロボット部品、産業機械部品

軽量化と耐久性を両立できるため、幅広い業界で利用されています。



8、布ベークが選ばれる理由

 

布ベークが多くの現場で選ばれる理由は、以下のメリットにあります。

●金属より軽く、強度は十分
金属ほどの重量はなく、部品の軽量化が可能です。


●摺動部に最適な摩耗特性

粉塵の多い環境や潤滑が難しい現場でも安定稼働します。


●優れた絶縁性で安全性が高い

電気機器でも安全に使用でき、絶縁特性が長期間安定します。


●加工自由度が高い

複雑形状の切削加工も可能で、小ロット品にも向いています。



9、布ベークを使用する際の注意点

 

布ベークを使用する際は、以下のポイントに注意してください。

●吸水性に注意
フェノール系積層材は多少の吸水があります。高湿度環境では寸法変化に注意が必要です。


●高温で長時間の使用は注意

耐熱グレード以外では、長時間の高温使用で性能が低下する可能性があります。


●加工時の粉じん管理

切削時には粉じんが発生するため、作業環境を整えることが重要です。

 

 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、布ベーク・紙ベークをはじめとした各種積層材の加工に幅広く対応しています。
単純な板材・棒材の販売だけでなく、旋盤加工・フライス加工・異形加工・小ロット試作など、
お客様の用途に合わせた最適な形状へ加工が可能です。

また、用途に応じた素材選定のご相談も承っており、
「布ベークと紙ベークのどちらが適切か分からない」「最適なグレードを提案してほしい」、
といったお悩みにもスタッフが丁寧に対応いたします。

布ベークや紙ベークの加工をご検討の際は、ぜひ木成ゴム株式会社へお気軽にお問い合わせください。
高品質な製品づくりを、素材選定から加工・納品まで一貫してサポートいたします。

 





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