1. TOP
  2. メディア名
  3. お役立ち情報
  4. FRP樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

木成ゴム株式会社|樹脂、ゴム、金属、その他あらゆる材質を最適加工

FRP樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
FRP樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

FRP樹脂は、自動車・住宅設備・産業機器など、多岐にわたる分野で利用される複合素材です。
「強くて軽い」「耐食性に優れる」といった特性から、近年さらに注目が高まっています。
一方で、FRP樹脂は種類や製造方法が多く、用途によって選定のポイントも変わることには注意が必要です。

本記事では、FRP樹脂の基礎から特徴、製造方法、使用例、選び方のポイントまで解説します。
FRP樹脂の加工を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。






  

1、FRP樹脂とは?

FRPは Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック) の略称で、
プラスチックにガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維を加えることで、高い強度を持たせた複合材料です。

一般的なプラスチックは強度の面で金属には及びませんが、FRPは繊維を加えることで飛躍的に強度が向上します。
そのうえ、金属よりも軽量で加工性に優れているため、構造部材にも幅広く使用されています。

日常生活の中でもFRPは多く使われており、浴槽、ヘルメット、貯水タンク、プレジャーボートなど、
私たちの身近な製品にも活用されています。



2、FRP樹脂の構成(樹脂と繊維)

 

FRP樹脂は、「マトリックス樹脂」と「強化繊維」から構成されます。


● マトリックス樹脂

プラスチック部分にあたり、繊維を固めて形状を保持する役割を持ちます。
主に以下の種類が用いられます。

  • ポリエステル樹脂:安価・扱いやすい・代表的

  • ビニルエステル樹脂:耐薬品性に優れる

  • エポキシ樹脂:高性能で高価

樹脂によって耐熱性・強度・耐薬品性などが変わるため、用途に合わせて選定されます。


● 強化繊維

FRPの強度を担う素材で、「骨格」のような役割です。

  • ガラス繊維(GFRP):最も一般的、コストと性能のバランスが良い

  • 炭素繊維(CFRP):非常に軽くて強い、航空・宇宙・スポーツ用品など

  • アラミド繊維(AFRP):衝撃に強く防護材に使用される

樹脂と繊維の組み合わせにより性能が大きく変わるため、FRPは「設計自由度が高い素材」といわれています。



3、FRP樹脂の主な種類

 

FRPは、強化繊維の種類によって分類されます。


● GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)

最も普及しているFRP。
建築、車両、タンク、浴槽など、幅広い製品で使用されています。


● CFRP(炭素繊維強化プラスチック)

非常に軽量で強度も高く、航空機、自転車、スポーツ用品、ロボット部品などに多用されます。


● AFRP(アラミド繊維強化プラスチック)

耐衝撃性に優れ、防弾材、防護シールド、軽量構造材などに使用されます。


それぞれの性能は大きく異なるため、用途やコストに合わせて選定されます。

 

 

4、FRP樹脂の特徴

 

FRP樹脂には多くのメリットがあります。


(1)高い強度と軽さ

強化繊維により、金属に匹敵する強度を持ちながら、非常に軽量です。
輸送機器では軽量化による燃費改善が期待できます。


(2)耐食性に優れる

金属と違い、錆びない・腐食しにくいという点が大きなメリットです。
薬品や水分が多い環境でも長寿命で使用できます。


(3)設計の自由度が高い

樹脂の種類、繊維の材質、繊維の配向方法によって性能を調整でき、複雑形状も製造しやすい素材です。


(4)電気絶縁性が高い

電気を通しにくいため、電気・電子機器の絶縁部材として利用されます。


これらの特性から、過酷な環境下でも安定して使用できる材料として広く採用されています。

 

 

5、FRP樹脂の代表メーカー・ブランド

 

FRP樹脂は、用途に合わせてさまざまな樹脂メーカーが材料を提供しています。
ここでは、日本国内で広く知られている代表的なメーカーとその特徴を紹介します。

● 住友ベークライト株式会社

国内を代表する樹脂メーカーのひとつで、エポキシ樹脂やフェノール樹脂を中心に、FRP用途向けの材料も展開。
高い品質と安定した供給体制により、産業用途から一般製品まで幅広く採用されています。

● DIC株式会社

樹脂・塗料・工業材料など幅広い製品を展開し、FRP用途対応の不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂も製造。
耐薬品性や機械特性に優れるグレードが多い点が特徴です。

● 三菱ケミカル株式会社

エポキシ樹脂や高機能材料を幅広く展開。CFRP用途に適したエポキシ樹脂や、
産業用部材に向けた高耐久グレードなど、多様な材料を提供しています。

● 旭化成株式会社

エンジニアリングプラスチックに強みを持ち、アラミド繊維などFRP強化材として使用される素材も展開しています。
軽量化・耐衝撃性が求められる用途で採用されています。


 

6、FRP樹脂の使用例 


FRP樹脂は非常に多くの分野で採用されています。

● 住宅設備

  • 浴槽やシャワーユニット

  • キッチンカウンター

  • 外壁材

● 交通・輸送機器

  • 自動車の外装パーツ

  • 鉄道車両の内装材

  • 航空機部品(CFRP)

● 産業設備

  • 化学プラントのタンク

  • ダクト

  • ポンプケーシング

● レジャー用品

  • ボート・カヌー

  • サーフボード

  • 自転車フレーム

FRP樹脂は「強度・軽さ・耐久性」のバランスが良いことから、生活のあらゆる場面で活用されています。


 

7、FRP樹脂が選ばれる理由

 

FRPが他の材料ではなく選ばれる理由として、次の点が挙げられます。

  • 金属より軽く、錆びない

  • 樹脂より強く、耐久性に優れる

  • 複雑形状にも対応

  • 環境に応じて性能調整がしやすい

特に、軽量化や耐食性が求められる場面では、FRPは非常に有効な選択肢となります。



8、FRP樹脂を選定する際のポイント

 

FRPは多くの組み合わせが可能な素材のため、以下の点を整理すると選定がスムーズです。

  • 使用環境(屋内/屋外、温度、薬品、湿度)

  • 必要な強度(引張、曲げ、衝撃など)

  • 重量制限の有無

  • 成形数量(単品/量産)

  • コスト

  • 耐候性・耐食性の必要性

これらを踏まえて、樹脂の種類や繊維の選択、成形方法を決定します。



9、FRP樹脂の注意点・課題

 

メリットの多いFRPですが、課題も存在します。


● リサイクルが難しい

複合材料であるため、分別・再利用が容易ではありません。


● 金型や技術が必要

成形方法によっては、専用設備や高度なノウハウが求められます。


● 大量生産には不向きな工法もある

ハンドレイアップなどは量産には不適で、製品によって工法の選択が重要です。

FRPは性能が高い反面、用途に正しく合った選定が必要な素材といえます。

 

 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、お客様の用途に応じた樹脂素材の選定や、
加工方法の検討などについてご相談を承っております。

FRP樹脂に関しても、まずはご要望・使用環境・必要性能を丁寧にヒアリングし、
適切な方向性をご案内できるよう努めております。

「どの樹脂を選べばよいか分からない」「加工方法の比較検討がしたい」、
といった段階でも、お気軽にお問合せください。

豊富な樹脂加工の経験をもとに、最適な素材検討をサポートいたします。

 





  • このエントリーをはてなブックマークに追加