発泡ウレタンとは?特徴や使用例を詳しく解説

製品開発や材料選定を進める中で、
「軽量でありながら高い強度や機能性を持つ素材を探したい」
という声をよく耳にしますが、その候補の一つに、発泡ウレタンがあります。
発泡ウレタンは、家具や自動車、家電、建築分野に至るまで幅広い産業で採用されており、
日常生活のあらゆる場面で活躍しています。
本記事では、発泡ウレタンの基礎知識から特徴、使用例、選定ポイントまでを詳しく解説します。
1、発泡ウレタンとは?
発泡ウレタンとは、ポリウレタン樹脂を発泡させて作られる多孔質の素材です。
樹脂の中に無数の気泡を含んでおり、見た目はスポンジやフォーム状になります。
その構造によって、軽量でありながら高い弾力性や断熱性、吸音性を持ち、
さまざまな用途で活用されています。
大きく分けると以下の2種類があります。
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軟質発泡ウレタン:柔らかく、クッション性や復元力が高い
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硬質発泡ウレタン:固く、断熱性や寸法安定性に優れる
さらに、用途によって「半硬質フォーム」や「モールド成形品」など細分化され、
幅広いニーズに対応可能です。
2、発泡ウレタンの特徴
①軽量でありながら高性能
発泡体構造により重量は大幅に軽くなりますが、
弾力性・強度・耐衝撃性を兼ね備えています。
軽量化が求められる自動車や輸送機器に最適です。
②優れた断熱性能
硬質発泡ウレタンは、断熱材として最も一般的な素材の一つです。
冷蔵庫の内壁や建築の断熱パネルに採用されているのは、この高い断熱性能が理由です。
③クッション性・復元性
軟質フォームは、座ったり体重をかけたりしてもすぐに元の形に戻る性質を持ちます。
そのため、ソファ、ベッドマットレス、自動車シートに幅広く利用されています。
④吸音・防振性
多孔質構造により音や振動を吸収します。
家電製品の静音化や、自動車内装の防音材として重要な役割を果たします。
⑤加工のしやすさ
打ち抜き、切削、接着、モールド成形など多様な加工が可能。
試作から量産まで対応しやすく、製品開発に柔軟性を与えます。
3、発泡ウレタンの種類
発泡ウレタンは化学構造や発泡方法の違いによって分類されます。
軟質ウレタンフォーム
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スポンジ状で柔らかい
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高いクッション性を持つ
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家具、寝具、自動車シートに使用
硬質ウレタンフォーム
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剛性が高く、断熱性に優れる
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建築の断熱材、冷蔵庫の内壁、パイプ被覆に利用
半硬質ウレタンフォーム
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適度な弾力と強度を持つ
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自動車のステアリングホイールやダッシュボードに多用
モールドウレタンフォーム
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金型で成形するため、複雑形状も再現可能
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自動車シートや特殊パーツに用いられる
エーテル系とエステル系の違い
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エーテル系:加水分解に強く、水回りや屋外用途に適する
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エステル系:耐摩耗性に優れ、耐久性が必要な用途に適する
4、発泡ウレタンの使用例
発泡ウレタンは、身近な製品から産業用資材まで幅広く利用されています。
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家具・寝具:ソファ、椅子、ベッドマットレス
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自動車:シートクッション、防音材、ハンドル、ヘッドレスト
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建築:断熱パネル、吹付断熱材、防音材
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家電製品:冷蔵庫の断熱層、エアコン内部材、洗濯機の防振材
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包装材:精密機器や医療機器の輸送用緩衝材
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産業用途:機械の防振材、シール材、ガスケット
このように用途が非常に広いため、発泡ウレタンをどう選ぶかが製品性能に直結します。
5、発泡ウレタン選定時のポイント
発泡ウレタンを導入する際は、以下の観点を考慮すると失敗を防げます。
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用途と機能性
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クッション性が必要か、断熱性能が求められるかなど目的を明確にする。
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使用環境
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高温多湿、屋外、長期使用など環境条件によってエーテル系・エステル系を選び分ける。
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硬さ・密度
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密度が高いほど強度や耐久性が増すが、コストや重量も増加。バランスが重要。
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加工方法と生産体制
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打ち抜き加工、接着加工、モールド成形など製品仕様に合わせた加工方法を検討する。
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法規制・環境対応
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難燃規格やVOC規制、リサイクル性など、近年は環境性能も重要な選定要素です。
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材料選定の初期段階でこれらを把握しておくと、試作・量産段階でのトラブルを防ぎやすくなります。
6、まとめ
発泡ウレタンは、軽量・断熱・クッション・吸音といった多彩な性能を兼ね備え、
家具、自動車、建築、家電、産業資材など幅広い分野で活用されています。
軟質・硬質・半硬質・モールドなど種類も多く、用途や環境に応じた適切な選定が不可欠です。
木成ゴム株式会社では、発泡ウレタンをはじめとした各種ゴム・樹脂材料のご提案から、
試作・加工・量産までトータルでサポートしております。
「どの種類を選べばよいのか迷っている」「用途に合った特性を持つ材料を知りたい」
といったご相談も承っております。
課題解決に向けた最適なアドバイスを行いますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。