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POMの耐薬品性は?他材質との違いも詳しく解説

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POMの耐薬品性は?他材質との違いも詳しく解説

POM(ポリアセタール)樹脂は、優れた機械的強度や耐摩耗性、
摺動性、寸法安定性を持つ代表的なエンジニアリングプラスチックです。
ギア、軸受、ローラー、カム、スライド部品など、金属部品の代替として幅広い用途で使用されています。

POM樹脂を薬品が接触する環境で使用する場合、
機械的特性だけでなく耐薬品性についても確認する必要があります。
POMは油類やガソリンなどに対して比較的優れた耐性を持つ一方、
強酸や酸化性薬品には弱いという特徴があります。

また、POMにはホモポリマーとコポリマーがあり、
グレードによって耐熱性や機械的特性、耐薬品性などに違いが生じる場合があります。
そのため、単に「POM」という名称だけで判断するのではなく、実際の使用条件を確認することが重要です。

本記事では、POM樹脂の耐薬品性について一般的な特徴を解説し、
酸性・アルカリ性の薬品や油類、有機溶剤などに対する特性を具体的に紹介します。
さらに、PA66、PBT、PP、PE、PTFEなど、代表的な樹脂との違いについても詳しく解説します。

 





 

  

1、POM樹脂とは

POMは「ポリアセタール」の略称で、代表的なエンジニアリングプラスチックの一つです。
「ポリアセタール樹脂」や「アセタール樹脂」と呼ばれることもあります。

POMの大きな特徴は、優れた摺動性と耐摩耗性です。
さらに、剛性や機械的強度にも優れており、寸法変化が比較的小さいことから、
精密な機械部品にも適しています。

ギア、軸受、ブッシュ、ローラー、カム、スライド部品、搬送機器部品など、
繰り返し摩擦や接触が発生する部品に多く使用されています。

一方、POMは酸や酸化剤に弱いという特徴があります。
使用環境によっては他の樹脂の方が適している場合があるため、耐薬品性を含めた総合的な選定が必要です。



2、POM樹脂の耐薬品性の特徴


POM樹脂は、油類、ガソリン、軽油などに対して比較的優れた耐薬品性を持っています。

そのため、自動車部品や産業機械部品など、油や燃料と接触する可能性がある用途でも使用されています。

また、アルカリ性の薬品については、一般的な条件では比較的安定しています。
希薄なアルカリ水溶液などでは大きな影響を受けにくい場合があります。

一方で、酸性の薬品、特に強酸には注意が必要です。
POMの主鎖を構成するアセタール結合は酸の影響を受けやすく、
強酸に長時間接触すると分解が進行する可能性があります。

さらに、硝酸などの強い酸化性薬品や、塩素系の強力な酸化剤などにも注意が必要です。


 

3、POM樹脂が比較的強い薬品

 

POM樹脂は、鉱物油、潤滑油、グリース、作動油などの油類に対して比較的良好な耐性を示します。

ガソリンや軽油などの燃料にも比較的強く、自動車関連部品などで使用されています。

また、脂肪族炭化水素系の溶剤についても、比較的安定している場合があります。

加えて、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどに対しても比較的良好な耐性を示します。
ただし、温度や濃度、接触時間によって結果は変わります。

希薄なアルカリ水溶液にも比較的強く、水酸化ナトリウムなどについても条件によって使用可能な場合があります。

ただし、「アルカリに強い」という特性は、あくまで一般的な傾向です。
高温・高濃度の薬液や長期間の接触では、実際の使用条件に基づいた確認が必要です。



4、POM樹脂が弱い薬品

 

POM樹脂で特に注意したいのが、強酸です。

塩酸、硫酸、硝酸などの強酸に長時間接触すると、POMの分解が進み、表面劣化や強度低下につながる可能性があります。

特に高濃度の酸や高温の酸性溶液では、劣化が進みやすくなります。

また、硝酸や過酸化水素などの強い酸化性薬品にも注意が必要です。
酸化剤によってPOMが劣化し、クラックや変色、強度低下などが発生する場合があります。

さらに、フェノールやクレゾールなど、POMを侵しやすい特殊な有機化合物にも注意が必要です。

有機溶剤については、POMは比較的耐性がありますが、「すべての有機溶剤に強い」というわけではありません。
溶剤の種類や温度、接触時間によっては膨潤や表面劣化が発生する可能性があります。

 

 

5、ホモポリマーとコポリマーの違いと耐薬品性

 

POM樹脂には、大きく分けて「ホモポリマー」と「コポリマー」の2種類があります。

ホモポリマーは、ホルムアルデヒド由来の成分を主体として重合したPOMです。
一方コポリマーは、ホルムアルデヒド由来の成分にコモノマー(共重合成分)を加えて重合したPOMです。

ホモポリマーはコポリマーと比較して、機械的強度、剛性、耐クリープ性などに優れる傾向があります。
そのため、高い強度や剛性が必要なギアや機械部品などに適しています。

一方、コポリマーは熱安定性や耐薬品性に優れる傾向があります。
特に酸や熱による分解に対して、ホモポリマーより安定しやすいことが特徴です。

耐薬品性について見ると、油類、ガソリン、軽油、グリースなどに対する基本的な耐性は、
ホモポリマーとコポリマーで大きな差がない場合が多いです。

一方、酸性薬品や高温環境では違いが出やすくなります。
POMは酸の影響を受けると分子鎖の分解が進行する可能性がありますが、
コポリマーでは共重合成分を導入することで熱安定性が高められているため、
一般的にホモポリマーより酸や熱による分解に対して安定しています。

そのため、酸性薬品が存在する環境や、比較的高温で薬品に接触する用途では、
コポリマーの方が有利な選択肢となる場合があります。

ただし、コポリマーであれば強酸にも耐えられるというわけではありません。
塩酸、硫酸、硝酸などの強酸に長時間接触する環境ではコポリマーでも劣化する可能性があります。

つまり、ホモポリマーとコポリマーを耐薬品性の観点から比較すると、
油類や燃料などへの基本的な耐性は大きく変わらない一方、
酸や熱に対する安定性ではコポリマーが有利な傾向がある
と考えると分かりやすいでしょう。






 

 

6、温度・濃度・接触時間による耐薬品性の違い

 

POM樹脂の耐薬品性は、薬品の種類だけで決まるものではありません。

同じ薬品でも、濃度が高くなるほど樹脂への影響が大きくなる場合があります。
また、温度が高くなると化学反応が進みやすくなり、常温では問題のない薬品でも劣化する可能性があります。

さらに、薬品との接触時間も重要です。短時間の飛沫では問題がなくても、
薬液への長時間浸漬では物性が変化することがあります。

特にPOMを機械部品として使用する場合は、「薬品に耐えるか」だけでなく、
「薬品に接触した状態で荷重や摩擦が加わっても問題ないか」という観点から確認することが重要です。



 

7、他の樹脂との耐薬品性の違い 

 

POM樹脂は、耐摩耗性や摺動性と耐薬品性のバランスに優れた材料ですが、
薬品の種類によっては他の樹脂の方が適しています。

PA66(ポリアミド66)は、POMと同じく機械部品に多く使用されるエンジニアリングプラスチックです。
油類や燃料には比較的強く、強度や耐摩耗性にも優れています。
一方、PA66は吸水性があり、水分による寸法変化が発生しやすいという特徴があります。
耐薬品性では強酸に弱い点が共通していますが、使用環境によってPOMとPA66を使い分ける必要があります。

PBT(ポリブチレンテレフタレート)は、寸法安定性や電気絶縁性に優れ、
自動車・電気電子部品に多く使用されています。
油類や燃料、アルコール類には比較的強い一方、
高温のアルカリや強酸では加水分解などによる劣化に注意が必要です。
POMは摺動部品に強みがあり、PBTは電気・電子部品などで強みを持つという違いがあります。

PP(ポリプロピレン)は、酸・アルカリ・塩類に対して非常に優れた耐薬品性を持つ材料です。
薬品タンク、配管、容器など、薬液を扱う用途ではPOMよりPPが適しているケースがあります。
ただし、剛性、耐摩耗性、摺動性ではPOMが有利であり、
ギアやブッシュなどの機械部品ではPOMが選ばれやすくなります。

PE(ポリエチレン)も酸、アルカリ、塩類に強く、化学薬品を扱う設備などで広く使用されています。
特に高密度ポリエチレンは耐薬品性に優れています。
一方、POMと比較すると剛性や精密な寸法安定性、機械部品としての摺動特性などが異なります。

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、非常に高い耐薬品性を持つフッ素樹脂です。
強酸、強アルカリ、有機溶剤などに対してPOMより優れた耐性を示すため、
化学薬品を扱うシール、ライニング、パッキンなどで使用されます。
一方、PTFEはPOMより柔らかく、クリープしやすいという特徴があります。
そのため、高い寸法安定性や剛性が必要なギア・精密機械部品ではPOMが適する場合があります。

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は、耐薬品性、耐熱性、
機械的強度を非常に高いレベルで兼ね備えたスーパーエンジニアリングプラスチックです。
強酸・強アルカリを含む幅広い薬品に対して高い耐性を持ち、
高温環境でも使用しやすい点がPOMとの大きな違いです。
ただし、材料価格はPOMより大幅に高くなることが一般的です。

ABS樹脂は、成形性や加工性、機械的特性のバランスに優れていますが、有機溶剤には比較的弱い材料です。
アセトンやMEK、トルエンなどによって表面が侵されたり、応力割れが発生したりする可能性があります。
油類や機械的な摺動環境では、POMの方が適しているケースが多くあります。

このように、POMは耐薬品性だけを追求した樹脂ではありません。
油類や燃料への耐性に加え、耐摩耗性、摺動性、剛性、寸法安定性をバランスよく備えていることが大きな特徴です。
薬品だけを見るならPP、PE、PTFE、PEEKなどが有利な場合がありますが、
薬品環境で動く機械部品という条件ではPOMが有力な選択肢となります。

 



8、POM樹脂が使用される代表的な用途

 

POM樹脂は、優れた摺動性や耐摩耗性を活かして、さまざまな機械部品に使用されています。

代表的な用途として、ギア、ブッシュ、軸受、ローラー、カム、
スライド部品、チェーンガイド、搬送設備部品、バルブ部品などが挙げられます。

また、自動車部品、家電製品、OA機器、産業機械などにも幅広く使用されています。




9、POM樹脂を選定する際の注意点

 

POM樹脂を選定する際は、使用する薬品の種類だけでなく、濃度、温度、接触時間を確認することが重要です。

特に酸性薬品や酸化性薬品に接触する用途では、十分な確認が必要です。

また、POMにはホモポリマーとコポリマーがあり、メーカーやグレードによって物性が異なります。
ガラス繊維などを添加した強化グレードや、摺動性を重視したグレードなども存在するため、
必要な特性に応じて選定することが大切です。

さらに、ギアや軸受などでは薬品への耐性だけでなく、
荷重、速度、摩擦、摩耗、温度なども製品寿命に影響します。

重要な用途では、実際に使用する薬品を用いた評価試験を行うことが望ましいでしょう。

 
 

10、まとめ

 

POM樹脂は、油類、グリース、ガソリン、軽油などに対して比較的優れた耐薬品性を持ち、
さらに耐摩耗性、摺動性、剛性、寸法安定性にも優れています。
そのため、薬品が存在する環境で使用されるギア、ブッシュ、軸受などの機械部品にも適しています。

一方で、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸や、強い酸化性薬品には弱い傾向があります。
また、温度や薬品濃度、接触時間によって耐薬品性が変化するため、実際の使用条件を考慮した材料選定が重要です。

木成ゴム株式会社では、各種樹脂・ゴム材料に関するご相談や、
用途に適した材料のご提案、加工品の製作まで幅広く対応しております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。

 



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