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エポキシ樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

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エポキシ樹脂とは?材質・特徴・使用例を詳しく解説

エポキシ樹脂(Epoxy resin)は、優れた接着性・耐薬品性・電気絶縁性を兼ね備えた熱硬化性樹脂の一種です。
工業製品から建築、電気・電子分野まで幅広く使用されており、
特に「強固で長持ちする接着」「精密な絶縁材料」として欠かせない存在です。

しかし一方で、「エポキシ樹脂」「ガラスエポキシ」「ガラエポ樹脂」など、似た名称が多く混同されがちです。
本記事ではまずその違いを明確にしつつ、エポキシ樹脂の材質・特徴・使用例をわかりやすく解説します。
樹脂加工や素材選定に関わる方にとって、実務的に役立つ内容です。






  

1、エポキシ樹脂とは?

エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基(–CH–(O)–CH₂–)を持つ化合物を主成分とした熱硬化性樹脂です。
硬化剤(アミン類や酸無水物など)と化学反応させることで、三次元の架橋構造を形成し、強靭な固体へと変化します。

代表的な分類は以下の通りです。

  • ビスフェノールA型エポキシ樹脂:最も一般的。強度と絶縁性のバランスが良く、電気・電子用途に最適。

  • ビスフェノールF型エポキシ樹脂:低粘度で流動性が高く、充填・含浸用途に適す。

  • ノボラック型エポキシ樹脂:耐熱性・耐薬品性に優れ、半導体封止材などに使用。

  • 脂肪族エポキシ樹脂:透明性が高く、塗料や接着剤に用いられる。



2、エポキシ樹脂・ガラスエポキシ・ガラエポ樹脂の違い

 

まず混同されやすい3つの呼称の違いを整理しておきましょう。

  • エポキシ樹脂(Epoxy resin)
     エポキシ基を持つ樹脂の総称で、液状または固体で販売され、硬化剤と反応させて使用します。

  • ガラスエポキシ(Glass Epoxy)
     ガラス繊維を基材として、その間をエポキシ樹脂で固めた積層複合材です。絶縁性・強度・耐熱性に優れます。

  • ガラエポ樹脂(ガラスエポキシ樹脂の略称)
     日本国内では「ガラエポ」という略称が定着しており、一般的にはガラスクロスエポキシ積層板を指します。

つまり、「エポキシ樹脂」は基礎素材、
「ガラスエポキシ」「ガラエポ樹脂」はそれを補強材と組み合わせた複合材料を意味します。



3、エポキシ樹脂の主な物性と特徴

 

エポキシ樹脂は多くの産業で重宝される理由が明確です。以下のような特徴を持ちます。

  • 高い接着性:金属・プラスチック・ガラスなど、異種材料間でも強力に接着。

  • 優れた電気絶縁性:高電圧下でも安定した絶縁性能を維持。

  • 高い機械的強度:硬化後は高剛性・高硬度で変形しにくい。

  • 耐薬品性・耐湿性:酸・アルカリ・溶剤に対して優れた抵抗性を示す。

  • 寸法安定性:硬化後の収縮が少なく、精密部品にも適用可能。

これらの特性により、「構造用接着剤」「絶縁部品」「成形材料」として多方面に活用されています。

 

 

4、エポキシ樹脂の代表的な種類

 

エポキシ樹脂には多くの製品バリエーションがありますが、使用目的によって大きく3タイプに分けられます。

  1. 接着・コーティング用
     建築補修材、床材、防食コーティングなどに使われる。透明性や塗布性を重視。

  2. 電気絶縁・封止材用
     電子基板や半導体を外部環境から保護するために使用。耐熱・耐湿性が求められる。

  3. 成形材料・複合材用
     ガラス繊維や炭素繊維と組み合わせて高強度部品を製造。機械構造部品や航空材料にも応用。

 

 

5、エポキシ樹脂の加工方法と注意点

 

エポキシ樹脂は硬化後に再加熱しても軟化しない熱硬化性樹脂のため、成形時には慎重な取り扱いが必要です。

  • 液状の状態で成形する:硬化剤を加えて流し込み、硬化反応を進めます。

  • 硬化温度管理が重要:硬化反応が不完全だと性能が低下します。

  • 切削加工は可能だが、発熱に注意:硬化後は非常に硬くなるため、工具摩耗が早くなります。

加工現場ではNC加工やマシニングセンタ加工によって、
精密な絶縁部品や固定具を製作するケースが多く見られます。


 

6、エポキシ樹脂の主な用途・使用例

 

エポキシ樹脂は、産業分野全体において多岐にわたる用途があります。

  • 電子・電気機器の絶縁部品
     コイルボビン、基板固定具、端子台、絶縁プレートなど。

  • 構造用接着剤
     自動車、航空機、建築補修、FRP補強などの接着に使用。

  • 封止・注型材
     トランスや半導体の封止、モーターの含浸絶縁材。

  • コーティング材・塗料
     耐薬品タンクや床面の防食コートとして。

  • 複合材料(CFRP、GFRP)
     ガラス繊維や炭素繊維との複合化で、軽量高強度部品を実現。



 

7、電気・電子分野におけるエポキシ樹脂の重要性

 

エポキシ樹脂は、絶縁性能と機械的強度を両立できる数少ない素材です。
そのため、以下のような場面で不可欠な存在となっています。

  • プリント基板(PCB)の基材
     FR-4(ガラスエポキシ積層板)は世界中で標準的に使用。

  • トランス・モーターの絶縁注型材
     高電圧環境下でも安定した性能を発揮。

  • ICパッケージの封止材
     耐熱性・寸法安定性・耐湿性の高さから、半導体保護に最適。

電子機器の信頼性を支える“見えない素材”として、エポキシ樹脂は極めて重要な役割を担っています。




8、ガラスエポキシ(ガラエポ)の特性と使われ方

 

ガラスエポキシ(ガラエポ)は、ガラス繊維布を基材とし、エポキシ樹脂で積層・硬化させた材料です。
主な特徴は次の通りです。

  • 高い機械強度と寸法安定性

  • 優れた電気絶縁性

  • 良好な耐熱性・耐湿性

  • 加工性に優れる(切削・穴あけ・タップ加工が容易)

主な用途は以下のとおりです。

  • 電気絶縁プレート、スペーサー、端子板

  • プリント基板(FR-4基板)

  • 機械部品(治具、固定具、保持板など)

ガラエポは絶縁材料の定番であり、木成ゴム株式会社でも多くの加工実績を持つ代表的な素材です。


 

9、他樹脂との比較

 

エポキシ樹脂は、他の熱硬化性樹脂と比べてもバランスの取れた性能を持っています。

例えばフェノール樹脂は、耐熱性や難燃性が非常に高く、コストも比較的安価です。
しかし吸水性がやや高く、機械的衝撃に対して脆い一面があります。
それに対しエポキシ樹脂は、より高い接着力と寸法安定性を備え、絶縁性にも優れています。

不飽和ポリエステル樹脂は成形が容易で透明性が高く、装飾部品や建築材料などに向いていますが、
耐薬品性・耐熱性はエポキシほど高くありません。


このように、エポキシ樹脂は「強度・絶縁性・接着性・耐薬品性」を総合的に高水準で備えており、
高信頼性が求められる部品に最も適した樹脂素材といえます。


 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、エポキシ樹脂およびガラスエポキシ(ガラエポ)を使用した、
絶縁部品・機械加工品・試作品の製作を幅広く承っています。

高精度のNC加工・マシニングセンタ加工・5軸加工によって、図面通りの寸法・仕上がりを実現します。
耐熱・絶縁・強度のバランスを求める製品に最適な素材選定もサポートしています。

「エポキシ樹脂の特性を活かした加工をしたい」
「ガラエポ材で高精度な絶縁プレートを製作したい」といったご要望にも、経験豊富なスタッフが丁寧に対応いたします。

エポキシ樹脂・ガラスエポキシ加工に関するご相談は、ぜひ木成ゴム株式会社までお気軽にお問い合わせください。





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