樹脂の耐熱温度とは?主要樹脂を比較
樹脂部品は、加工性やコスト面の優位性から、様々な設備に採用されていますが、
使用環境によっては「耐熱温度」が重要な判断基準となるケースもあります。
温度条件に適さない樹脂を選定してしまうと、
変形や物性低下、想定外のトラブルにつながる可能性があります。
樹脂の耐熱温度は、材料ごとに大きく異なり、
また「どの状態まで耐えられるか」という考え方も一様ではありません。
本記事では、樹脂の耐熱温度の基本的な考え方を整理したうえで、
主要な樹脂材料について一般的な耐熱温度の目安を具体的に解説します。
樹脂材料を比較検討する際の基礎情報として、ぜひ参考にしてください。
目次
1、樹脂における耐熱温度とは何か
樹脂の耐熱温度とは、一定の温度環境下において、
材料としての機能や形状を維持できる温度の目安を指します。
ただし、これは「溶けない温度」を意味するものではなく、
実用上問題なく使用できる温度域を示す概念です。
耐熱温度を超えると、樹脂は軟化、変形、機械的強度の低下などが起こり、
部品としての役割を果たせなくなる可能性があります。
2、耐熱温度の定義と評価の考え方
樹脂の耐熱温度は、材料メーカーや用途によって示し方が異なることがあります。
代表的な考え方としては、長期間使用しても物性が大きく低下しない温度、
あるいは短時間であれば耐えられる上限温度などが挙げられます。
そのため、単一の数値だけで判断するのではなく、
「連続使用温度」「短時間耐熱温度」といった前提条件を理解することが重要です。
3、汎用樹脂の耐熱温度の特徴
汎用樹脂は、コストや加工性に優れる反面、耐熱温度は低めに設定されることが一般的です。
例えば、ポリエチレンはおおよそ60℃から80℃程度、
ポリプロピレンは100℃前後までが実用的な耐熱温度の目安とされます。
ポリスチレンも同様に、耐熱温度は70℃から90℃程度とされることが多く、
高温環境での使用には注意が必要です。
これらの樹脂は、常温からやや高温程度の環境で使用される部品に適しています。
4、エンジニアリングプラスチックの耐熱特性
エンジニアリングプラスチックは、汎用樹脂よりも高い耐熱性と機械的強度を持つ樹脂群です。
例えば、ポリカーボネートは120℃前後まで使用可能とされることが多く、
耐衝撃性と耐熱性のバランスに優れています。
また、ABS樹脂も80℃から100℃程度までの耐熱性を持ち、幅広い用途で使用されています。
エンジニアリングプラスチックは、
ある程度の温度上昇が見込まれる環境で検討されることが一般的です。
5、ポリアミド系樹脂の耐熱温度
ポリアミド系樹脂、いわゆるナイロンは、
耐熱性と機械的強度に優れた材料として知られています。
一般的なナイロン6やナイロン66では、連続使用温度として100℃から120℃程度、
条件によっては150℃前後まで耐えられるとされるケースもあります。
耐摩耗性や耐疲労性にも優れているため、機械部品などに多く使用されていますが、
吸水による物性変化には留意が必要です。
6、ポリエステル系樹脂の耐熱温度
ポリエステル系樹脂には、PBTやPETなどが含まれます。
これらの樹脂は、耐熱性と寸法安定性のバランスが良い点が特長です。
PBTの場合、耐熱温度は120℃前後、
PETでは100℃から120℃程度が一般的な目安とされます。
電気・電子部品や自動車部品など、比較的高温になる環境で使用されることもあります。
結晶性を持つため、耐熱性だけでなく成形後の安定性が評価されることも多い樹脂です。
7、フッ素樹脂の耐熱温度の位置づけ
フッ素樹脂は、非常に高い耐熱性と耐薬品性を持つ樹脂として知られています。
代表的なPTFEでは、連続使用温度として200℃から260℃程度が一般的な目安とされており、
樹脂材料の中でも高耐熱領域に位置づけられます。
高温環境下でも安定した特性を維持できる一方で、
コストや加工性の面では制約があるため、用途を限定して使用されることが多い材料です。
8、高耐熱樹脂の一般的な温度領域
さらに高い耐熱性が求められる場合には、
いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックが検討されます。
例えば、PEEKでは250℃前後、
PPSでは200℃前後の耐熱温度が一般的な目安とされています。
これらの樹脂は、航空宇宙、自動車、産業機器など、
過酷な温度条件下で使用されることがあります。
高耐熱樹脂は、性能面で大きなメリットがある一方、
材料コストや加工条件への配慮が必要です。
9、耐熱温度を考慮した樹脂選定の視点
樹脂選定においては、単純に耐熱温度が高い材料を選べばよいというわけではありません。
実際の使用温度、温度変化の頻度、機械的負荷、コストなどを、
総合的に判断することが重要です。
また、短時間の高温と長時間の連続使用では、求められる耐熱性能が異なるため、
用途条件を明確にしたうえで検討する必要があります。
10、まとめ
樹脂の耐熱温度は、材料選定において重要な指標のひとつです。
汎用樹脂から高耐熱樹脂まで、それぞれに適した温度領域と用途があります。
使用環境の温度条件を正しく把握し、必要な性能とのバランスを考慮することで、
安定した製品運用につながります。
木成ゴム株式会社では、樹脂材料の特性や使用環境に関する一般的なご相談を承っております。
使用条件やお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
用途に応じた材料選定の参考情報をご提供いたします。
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「高機能プラスチック・ゴム展2026」に出展いたします。






