ユニレートとは?材質や特徴を詳しく解説
ユニレートは、ユニチカ株式会社が展開する高機能な樹脂系の板材料です。
PETをベースとして、ガラス短繊維や無機フィラーなどを複合することで、
一般的なPET樹脂にはない高い剛性や寸法安定性を実現しています。
樹脂材料でありながら機械的強度に優れ、
さらに低吸水性、電気絶縁性、耐熱性などを備えていることから、
電気・電子部品や産業機械、半導体関連設備など、さまざまな用途で使用されています。
特に、ナイロンなどの吸水しやすい樹脂では寸法変化が問題になる環境や、
一般的な樹脂板では剛性が不足する用途で、ユニレートの特性が活かされます。
一方で、ユニレートという名称を聞いたことがあっても、
「具体的にどのような材質なのか」「一般的なPETやPOM、PBT、ガラエポなどと何が違うのか」
「どのような用途に適しているのか」については分かりにくい部分があります。
本記事では、ユニレートの材質や製造方法、特徴、代表的な物性、用途について解説します。
さらに、POM、ナイロン、ガラエポ、PEEK、などの他材料との違いについても紹介します。
目次
1、ユニレートとは
ユニレートは、ユニチカ株式会社が開発・製造する高機能樹脂板です。
主原料にはポリエチレンテレフタレート(PET)が使用されており、
ガラス短繊維や無機フィラーなどを組み合わせた複合材料となっています。
一般的なPET樹脂は、ペットボトルやフィルム、繊維などにも使用される身近な材料です。
しかし、ユニレートではPETにガラス短繊維や無機フィラーなどを複合することで、
一般的なPETよりも高い剛性や寸法安定性を実現しています。
例えば、絶縁スペーサー、ワッシャー、端子台、機械部品、治具など、
さまざまな用途に使用されています。
2、ユニレートの材質と構造
ユニレートの大きな特徴は、PETをベースとした複合材料であることです。
PET単体ではなく、ガラス短繊維や無機フィラーを複合することで、
材料の剛性や強度、寸法安定性などを高めています。
樹脂だけで構成された材料では、温度変化や荷重によって変形しやすい場合があります。
そこでガラス繊維などを組み合わせることで、
樹脂の軽量性を維持しながら、機械的な剛性を高めています。
また、ユニレートは一般的な熱硬化性樹脂積層板とは異なり、
熱可塑性樹脂であるPETをベースとしている点も特徴です。
この材質構成によって、低吸水性と高い寸法安定性を実現しています。
ユニレート標準グレード「PC」では、吸水率が0.10%とされており、
水分による寸法変化を抑えやすい材料です。
3、ユニレートの製造方法
ユニレートは、PET樹脂とガラス短繊維、無機フィラーなどを複合して製造されます。
基本的には、材料を押出成形した後、加熱積層プレスによって板状に成形します。
この製造方法によって、樹脂材料の中にガラス短繊維などが分散した複合構造を形成します。
ガラス短繊維などが補強材として働くことで、
PET単体と比較して高い剛性や強度を得ることができます。
また、板材として成形されるため、必要な寸法に切断した後、
フライス加工や穴あけ、旋盤加工などによって部品形状に加工することが可能です。
そのため、射出成形では製作しにくい比較的大きな板状部品や、
少量生産の機械部品などにも使用しやすい材料です。
4、ユニレートの特徴
ユニレートの代表的な特徴として、まず挙げられるのが高い剛性です。
PET樹脂にガラス短繊維や無機フィラーを複合することで、
一般的な樹脂板よりも高い剛性を実現しています。
また、低吸水性も重要な特徴です。
樹脂材料の中には、水分を吸収することで寸法や機械的特性が変化するものがあります。
代表的なのがナイロンです。
ナイロンは吸水によって寸法が変化しやすいため、
精密な寸法が求められる用途では注意が必要です。
これに対してユニレートは吸水率が低く、水分による寸法変化を抑えやすい材料です。
さらに、電気絶縁性にも優れています。
そのため、電気・電子部品の絶縁部品や、
産業機械の電気絶縁用途などにも使用されています。
耐熱性、寸法安定性、加工性などをバランスよく備えていることもユニレートの特徴です。
5、ユニレートの機械的特性
ユニレートは、樹脂材料の中でも比較的高い機械的強度と剛性を持っています。
標準グレードのユニレートPCでは、
代表値として引張強さが縦方向で約110MPa、曲げ強さが縦方向で約220MPaとされています。
特に板状部品で重要になるのが曲げに対する強さです。
例えば、機械設備のカバー、絶縁板、支持板、治具などでは、
部品自体がたわみにくいことが求められる場合があります。
このような用途では、一般的な樹脂板よりも高い剛性を持つユニレートが適する場合があります。
また、ユニレートは寸法安定性にも優れています。
温度変化や湿度変化による寸法変化が問題になる用途では、
低吸水性と高剛性を兼ね備えている点がメリットになります。
ただし、金属と比較すれば樹脂材料であるため、強度や剛性には限界があります。
非常に大きな荷重がかかる部品や、高温環境で高い強度を維持する必要がある用途では、
金属やスーパーエンジニアリングプラスチックなどとの比較が必要です。
6、ユニレートの電気特性・熱特性
ユニレートは電気絶縁性に優れているため、電気・電子関連の部品に使用されています。
例えば、絶縁スペーサー、端子台、電気機器の内部部品などが代表的な用途です。
さらに、吸水率が低いことも電気特性を維持するうえでメリットになります。
樹脂材料によっては水分を吸収することで絶縁性などの電気特性が変化する場合があります。
そのため、湿度変化のある環境で電気絶縁部品を使用する場合、低吸水性は重要な性能になります。
熱特性についても、一般的な汎用樹脂より高い耐熱性を持っています。
ただし、ユニレートはあくまでPETをベースとした材料であり、
PEEKなどのスーパーエンジニアリングプラスチックほどの高温特性を持つ材料ではありません。
高温環境で使用する場合には、実際の使用温度と連続使用時間を確認することが重要です。
7、ユニレートと他の樹脂との違い
ユニレートを選定する際には、
POM、PBT、ナイロン、ガラエポ、PEEK、PTFEなどとの違いを理解することが重要です。
まずPOMとの比較です。
POMは、ギア、ローラー、軸受、ガイドなどの機械部品に広く使用されているエンプラです。
強度や剛性に加えて、摩擦が小さく、摺動性に優れていることが大きな特徴です。
そのため、歯車や摺動部品ではPOMが有力です。
一方、ユニレートはPOMほど摺動性を重視した材料ではありませんが、
低吸水性や電気絶縁性、板材としての加工性などに強みがあります。
特に「水分による寸法変化を抑えたい」「絶縁性が必要」「高剛性の板材が欲しい」、
という条件では、ユニレートが適する可能性があります。
次にPBTとの比較です。
PBTはPETと同じポリエステル系の樹脂で、
耐熱性、機械的強度、電気特性、耐薬品性などのバランスに優れています。
自動車部品やコネクタ、電気・電子部品などに多く使用されています。
ユニレートはPBTの射出成形品とは異なり、ガラス短繊維や無機フィラーを複合した板材料です。
そのため、板材から切削加工して部品を製作する用途においては、
ユニレートが使いやすい場合があります。
ナイロンとの比較では、吸水性の違いが大きなポイントです。
ナイロンは機械的強度や耐摩耗性に優れていますが、吸水しやすいという特徴があります。
吸水すると寸法や機械的特性が変化するため、
湿度変化が大きい環境では設計上の注意が必要です。
ユニレートは吸水率が低いため、
寸法安定性を重視する用途ではナイロンより有利になる場合があります。
ガラエポとの比較も重要です。
ガラエポはガラス繊維とエポキシ樹脂を組み合わせた複合材料で、
電気絶縁性と剛性に優れています。
ユニレートもガラス短繊維を含むため、高剛性という点では共通しています。
大きな違いは樹脂の種類です。
ガラエポは熱硬化性のエポキシ樹脂を使用するのに対し、
ユニレートはPETをベースとした熱可塑性材料です。
ユニレートは低吸水性や寸法安定性などを活かしやすく、
ガラエポは電気絶縁部品や高い剛性が求められる用途で長く使用されている実績があります。
PEEKとの比較では、耐熱性と材料コストの違いが大きくなります。
PEEKは非常に高い耐熱性、耐薬品性、機械的強度を持つスーパーエンプラです。
高温の薬品環境や、非常に高い性能が要求される機械部品ではPEEKが有力です。
一方、ユニレートはPEEKほどの高温・耐薬品性能は必要ないものの、
低吸水性、高剛性、電気絶縁性などを必要とする用途で有効です。
必要以上に高価なPEEKを使用せず、必要な性能を確保したい場合には、
ユニレートが候補になる場合があります。
PTFEとの比較では、特性が大きく異なります。
PTFEは非常に優れた耐薬品性と低摩擦性を持っています。
そのため、薬品に接触するシール、パッキン、ライニング、摺動部品などに適しています。
一方、PTFEは柔らかく、荷重によってクリープしやすいため、
高い剛性が必要な構造部品には注意が必要です。
ユニレートはPTFEほどの耐薬品性を持ちませんが、高い剛性と寸法安定性を持つため、
荷重を受ける絶縁板や機械部品などに適しています。
このように、ユニレートは特定の性能だけが突出した材料ではなく、
低吸水性、高剛性、電気絶縁性、寸法安定性、
耐熱性、加工性などを総合的に求める用途に適した材料といえます。
8、ユニレートの種類と代表的な用途
ユニレートには、用途に応じて複数のグレードがあります。
標準グレードとして「PC」があり、電気絶縁部品や機械部品などに使用されます。
また、厚みのある板材が必要な用途には、超厚グレードの「GC」があります。
そのほか、難燃性を持たせた「NC」、帯電防止性を持つ「SC」、
導電性を持つ「CV」なども展開されています。
用途としては、トランス、コンデンサー、開閉器などの電気・電子部品、
絶縁板、端子台、産業機械部品、治具などが挙げられます。
また、食品機械など、金属以外の機械部品が必要となる用途にも使用されています。
9、ユニレートを使用する際の注意点
ユニレートを選定する際には、まず使用環境を明確にすることが重要です。
必要な板厚、寸法、荷重、使用温度、湿度、電気絶縁性などを確認します。
特にユニレートの大きな特徴である低吸水性を活かしたい場合には、
湿度変化が大きい環境なのか、水が直接接触する環境なのかを確認する必要があります。
また、薬品が接触する用途では、耐薬品性も確認します。
ユニレートは弱酸や一部の有機溶剤に対して比較的良好な耐性を持つ一方、
強酸やアルカリ、特に水酸化ナトリウムなどには注意が必要です。
さらに、板材から切削加工する場合には、加工後の寸法や反りなども考慮が必要です。
使用するグレードによって物性や機能が異なるため、
用途に適したグレードを確認することが重要です。
10、まとめ






