ニトリルゴムの耐油性は?他材質との違いも詳しく解説
油と接触する環境で使用されるゴム製品において、
「耐油性」は非常に重要な性能の一つです。
シール材やガスケット、パッキン、ホースなど、
機械や設備の内部には多くのゴム部品が使われており、
使用環境に適した材質選定が製品寿命や安定稼働に直結します。
本記事では、ニトリルゴムの耐油性の特長を軸に、他のゴム材質との違いや、
耐油性を考える際の基本的な視点について分かりやすく解説します。
目次
1、ゴムにおける耐油性とは何か
耐油性とは、ゴムが油類と接触した際に、
どの程度その性質を維持できるかを示す性能を指します。
油に触れたゴムは、体積が増える、硬さが変わる、
弾性が低下するなどの変化を起こすことがあります。
耐油性が高いゴムほど、こうした変化が小さく、
長期間にわたって使用できる状態を保ちやすくなります。
ただし、耐油性は「油に全く影響されない」という意味ではなく、
あくまで影響を受けにくいかどうかという相対的な評価である点が重要です。
2、油がゴムに与える影響
油はゴム内部に浸透しやすく、分子間に入り込むことで、
膨潤と呼ばれる現象を引き起こします。
この膨潤が進むと、ゴムの寸法が変化し、
シール性の低下や機能不良につながることがあります。
また、油の種類や温度条件によっては、ゴムの柔軟性が失われたり、
逆に軟化しすぎたりするケースもあります。
そのため、使用される油の性質を理解したうえで、
適切なゴム材質を選ぶことが求められます。
3、ニトリルゴムとはどのような材質か
ニトリルゴムは、アクリロニトリルとブタジエンを主成分とする合成ゴムです。
工業用途では非常に使用実績が多く、
耐油性を必要とする場面で標準的に採用されることの多い材質です。
Oリングやパッキン、ガスケット、オイルシールなど、
油と接触する部品に幅広く使用されており、
耐油性とコストのバランスに優れている点が大きな特長とされています。
4、ニトリルゴムが耐油性に優れる理由
ニトリルゴムの耐油性は、その分子構造に由来します。
ニトリルゴムに含まれるアクリロニトリル成分は極性を持ち、
鉱物油などの非極性物質と相性が良くありません。
この性質により、油がゴム内部へ浸透しにくくなり、膨潤や物性変化が抑えられます。
一般論として、アクリロニトリル含有量が多いほど耐油性は高くなる傾向がありますが、
その一方で低温特性などに影響が出る場合もあります。
5、ニトリルゴムが使用される主な油環境
ニトリルゴムは、潤滑油、作動油、エンジンオイル、燃料油など、
工業分野で一般的に使用される油に対して安定した性能を発揮します。
そのため、自動車部品、油圧機器、産業機械など、
油が常時存在する環境で多く採用されています。
油に長期間さらされる用途においても、比較的物性変化が小さい点が評価されています。
6、他のゴム材質と耐油性の違い
ゴム材質によって、耐油性の考え方は大きく異なります。
天然ゴムは弾性や耐摩耗性に優れていますが、
油に対しては膨潤しやすい傾向があります。
一方、シリコンゴムは耐熱性に優れていますが、
耐油性の観点ではニトリルゴムほど安定していない場合があります。
フッ素ゴムは耐油性・耐薬品性ともに高い性能を持ちますが、
一般的にはコストが高くなります。
ニトリルゴムは、これらの材質の中で、
性能と経済性のバランスが取れた位置づけにあるといえます。
7、油によって起こるゴムの劣化現象
油によるゴムの劣化は、外観や物性の変化として現れます。
代表的なものとして、体積の増加、表面のべたつき、硬度の低下などが挙げられます。
これらの変化は、すぐに破損につながるわけではありませんが、
シール性の低下や寿命短縮の原因となります。
ニトリルゴムは、こうした劣化が比較的緩やかであるため、
耐油用途で長く使用される材質となっています。
8、耐油性を重視する際の材質選定の考え方
耐油性を考える際には、油の種類だけでなく、
温度条件や接触時間、圧力条件なども重要な要素となります。
一時的な接触か、常時油に浸された状態かによって、求められる性能は異なります。
ニトリルゴムは多くの油環境に対応しやすい一方で、
極端な高温条件や特殊な油に対しては、他の材質が検討されることもあります。
一般的な耐油用途において、まず候補に挙がる材質の一つがニトリルゴムです。
9、ニトリルゴム使用時に知っておきたい注意点
ニトリルゴムは耐油性に優れていますが、万能ではありません。
耐候性や耐オゾン性については、使用環境によって注意が必要な場合があります。
また、同じニトリルゴムでも配合や硬度によって性能に差が出るため、
用途に応じた材質選定が重要です。
一般的な特性を理解したうえで、使用条件に合ったニトリルゴムを選ぶことが求められます。
10、まとめ
ニトリルゴムは、耐油性に優れた代表的なゴム材質として、幅広く使用されています。
鉱物油や潤滑油などに対して安定した性能を示し、
コストと性能のバランスに優れている点が大きな特長です。
他のゴム材質と比較しながら、使用環境に合った材質を選定することで、
製品の信頼性や長寿命化につながります。
木成ゴム株式会社では、ゴム材料の特性や使用環境に関する一般的なご相談を承っております。
使用条件やお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
用途に応じた材料選定の参考情報をご提供いたします。
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