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ABS樹脂の耐熱温度は?他材質との違いも詳しく解説

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ABS樹脂の耐熱温度は?他材質との違いも詳しく解説

樹脂材料は、軽量性や加工性の高さから多くの産業分野で利用されています。
その中でもABS樹脂は、バランスの取れた機械特性と、
加工のしやすさを兼ね備えた材料として、幅広い用途で使用されています。

機械部品、装置カバー、家電製品、自動車部品など、
身の回りの製品から産業用途まで採用されるケースが多い樹脂ですが、
材料選定の際には「耐熱温度」を理解しておくことが重要です。

本記事では、ABS樹脂の耐熱温度の基本的な考え方を整理しながら、
他の代表的な樹脂材料との耐熱性能の違いについても解説します。

 





 

  

1、ABS樹脂とはどのような材料か

ABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンという、
3つのモノマーから構成される樹脂材料です。

これらの成分の特性が組み合わさることで、
強度、耐衝撃性、加工性のバランスが取れた材料となっています。

アクリロニトリルは耐熱性や耐薬品性に寄与し、
ブタジエンは耐衝撃性を高め、スチレンは加工性や表面外観を向上させる役割を担います。

このような特徴から、ABS樹脂は汎用樹脂の中でも、
比較的扱いやすい材料として知られています。

射出成形による量産加工が容易であり、家電製品の外装部品、OA機器、
装置カバー、機械部品など多くの用途で使用されています。



2、樹脂材料における耐熱温度の考え方


樹脂材料の耐熱温度とは、材料が実用上問題なく使用できる温度範囲を示す指標です。
単に溶ける温度を意味するものではなく、
形状の安定性や機械的強度を維持できる温度の目安を指します。

樹脂材料では、主に以下のような指標が耐熱性能を示す際に用いられます。

・連続使用温度
・熱変形温度
・ガラス転移温度

これらの数値は材料の特性を理解するうえで重要であり、
実際の使用環境に合わせて判断する必要があります。


 

3、ABS樹脂の耐熱温度の目安

 

ABS樹脂の耐熱温度は、一般的に以下のような範囲とされています。

連続使用温度
おおよそ70℃~90℃程度

短時間耐熱温度
おおよそ90℃~100℃程度

この温度範囲を超えると、樹脂は徐々に軟化し、
荷重がかかっている状態では変形が生じやすくなります。

そのため、ABS樹脂は比較的中温域までの環境で使用されることが一般的です。



4、ABS樹脂のガラス転移温度と熱変形温度

 

ABS樹脂のガラス転移温度はおよそ95℃~105℃程度とされています。
ガラス転移温度とは、材料が硬い状態からゴムのように柔らかくなり始める温度です。

また、ABS樹脂の熱変形温度は一般的に80℃~100℃程度とされています。
この温度は、一定の荷重条件下で材料が変形し始める温度の目安です。

このような数値からも分かるように、
ABS樹脂は100℃近い温度域では変形の可能性が高くなるため、
高温環境では注意が必要です。

 

 

 

5、ポリカーボネートとの耐熱温度の違い

 

ポリカーボネートは透明性と耐衝撃性に優れた樹脂として広く使用されています。

ポリカーボネートの連続使用温度はおおよそ110℃~130℃程度とされています。
これはABS樹脂よりも20℃~40℃程度高い耐熱性能です。

そのため、発熱部近くの装置カバーなどではポリカーボネートが選定されることがあります。






 

 

6、ポリプロピレンとの耐熱温度の違い

 

ポリプロピレンは汎用樹脂の代表的な材料のひとつです。

耐熱温度の目安はおおよそ90℃~110℃程度とされており、
ABS樹脂と比較するとやや高い耐熱性能を持つ場合があります。

ただし、機械的強度や耐衝撃性ではABS樹脂の方が優れているケースも多く、
用途によって使い分けが行われています。

 

 

7、ナイロン(PA)との耐熱温度の違い 

 

ナイロンはエンジニアリングプラスチックの代表的な材料であり、
機械部品などで広く使用されています。

ナイロン6やナイロン66の連続使用温度はおおよそ100℃~120℃程度とされています。
条件によっては150℃近くまで耐える場合もあります。

このため、耐熱性能ではABS樹脂よりも高温環境に対応できる材料といえます。

 



8、アクリル樹脂との耐熱温度の違い

 

アクリル樹脂は透明性に優れる材料として知られています。

耐熱温度の目安は80℃~90℃程度とされており、
ABS樹脂とほぼ同程度の温度域で使用されることが多い材料です。

ただし、アクリル樹脂は耐衝撃性が低いため、
機械的負荷がかかる用途ではABS樹脂が選定されるケースがあります。




9、ABS樹脂が使用される温度環境の目安

 

ABS樹脂は、比較的中温域までの環境で使用されることが多い材料です。

一般的には、60℃~80℃程度までの温度環境であれば、安定して使用されるケースが多く見られます。

この温度範囲は、産業機器の外装部品や装置カバーなどに適した環境といえます。

 
 

10、まとめ

 

ABS樹脂は、強度、耐衝撃性、加工性のバランスが取れた材料として広く使用されています。

耐熱温度の目安は70℃~90℃程度であり、
100℃近い温度環境では変形の可能性があるため注意が必要です。

ポリカーボネートやナイロンなどの樹脂と比較すると耐熱性はやや低いものの、
加工性やコスト面でのメリットがあります。

そのため、使用環境の温度条件や必要な特性を総合的に考慮した材料選定が重要になります。

木成ゴム株式会社では、樹脂材料の特性や使用環境に関する一般的なご相談を承っております。
使用条件やお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
用途に応じた材料選定の参考情報をご提供いたします。


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