ポリウレタンの耐熱温度は?他材質との違いも詳しく解説
ポリウレタンは、ゴムのような弾性と樹脂のような機械強度を兼ね備えた高機能材料です。
一般的には「ウレタンゴム」と呼ばれることが多く、
工業用ローラー、搬送部品、パッキン、ライニング材、緩衝材など、さまざまな産業分野で使用されています。
天然ゴムやEPDM、シリコンゴムなどのゴム材料と比較すると、
耐摩耗性や機械強度に優れていることが大きな特徴です。
そのため、繰り返し摩擦が発生する環境や高荷重がかかる環境でも使用されるケースが多くあります。
一方で、ポリウレタンはゴム材料の中では比較的耐熱性が高いものの、
シリコンゴムやフッ素ゴムなどの高耐熱ゴムと比較すると温度限界が低い場合があります。
そのため、使用環境によっては耐熱性を十分に確認したうえで材料選定を行うことが重要です。
また、ポリウレタンにはエーテル系とエステル系が存在し、
それぞれ耐熱性や耐加水分解性などの特性が異なります。
本記事では、ポリウレタンの耐熱温度について、基本的な特徴から具体的な温度目安、
さらに他材質との違いまで分かりやすく解説します。
目次
1、ポリウレタンとはどのような材料か
ポリウレタンとは、ウレタン結合を持つ高分子材料の総称です。
工業用途では主にウレタンゴムとして使用されており、
ゴム材料と樹脂材料の中間的な性質を持つことが特徴です。
一般的なゴム材料と比較すると引張強さが高く、耐摩耗性にも優れているため、
過酷な摩耗環境で使用されるケースが多くあります。
例えば、搬送ローラー、スクレーパー、ガイドローラー、
車輪、緩衝材などでは非常に多く採用されています。
また、硬度の調整範囲が広いことも特徴で、
ショアA30程度の柔らかいものからショアD70程度の硬いものまで製作可能です。
さらに、金属との接着性にも優れており、
金属ローラーへのライニング材としても広く利用されています。
一方で、高温環境では徐々に硬化や軟化が進行し、
物性が低下する場合があるため、使用温度の確認が重要となります。
2、ゴム・樹脂材料における耐熱温度の考え方
材料の耐熱温度とは、単純に「溶ける温度」や「燃える温度」を指すものではありません。
一般的には、長期間安定して使用できる連続使用温度と、
短時間であれば耐えられる短時間耐熱温度によって評価されます。
ポリウレタンの場合、高温環境下では徐々に硬化や軟化、圧縮永久ひずみの増加が発生します。
また、同じ温度であっても荷重の有無によって寿命は大きく変わります。
例えば、80℃環境下で静置されている部品と、
80℃環境下で連続圧縮されている部品では劣化速度が異なります。
さらに、水蒸気、高湿度環境、油環境などによっても耐久性は変化します。
そのため、材料選定では単純な耐熱温度だけでなく、
実際の使用条件を考慮することが重要です。
3、ポリウレタンの耐熱温度の目安
ポリウレタンの連続使用温度は一般的に70℃~90℃程度とされています。
短時間であれば100℃~120℃程度まで耐えるケースもあります。
ただし、長期間80℃以上の環境で使用すると、硬化や弾性低下が進行する場合があります。
エーテル系ポリウレタンでは70℃~90℃程度、
エステル系ポリウレタンでも80℃~100℃程度が一般的な目安となります。
高耐熱グレードでは100℃~120℃程度の連続使用に対応する製品も存在します。
しかし、ゴム材料全体で見ると、シリコンゴムやフッ素ゴムほど高い耐熱性能を持つわけではありません。
そのため、100℃を超える環境で長期間使用する場合には、
他材質との比較検討が必要になります。
4、ポリウレタンの特徴と耐熱性以外のメリット
ポリウレタンの最大の特徴は、非常に優れた耐摩耗性です。
天然ゴムやEPDMと比較しても摩耗しにくく、
搬送設備や物流設備などの高摩耗環境で広く使用されています。
また、引張強さも高く、一般的には20MPa~50MPa程度の引張強さを持つグレードも存在します。
さらに、耐引裂性にも優れているため、欠けや破断が発生しにくい特徴があります。
耐荷重性能も高く、高荷重がかかるローラーや車輪用途にも適しています。
加えて、衝撃吸収性能にも優れており、振動や衝撃を低減する用途でも活用されています。
5、ポリウレタンと天然ゴムの耐熱温度の違い
天然ゴムの連続使用温度は一般的に60℃~80℃程度です。
一方、ポリウレタンは70℃~90℃程度の連続使用が可能であり、やや高い耐熱性能を持っています。
また、耐摩耗性についてはポリウレタンが大きく優れています。
天然ゴムは柔軟性や反発弾性に優れる一方で、摩耗環境では消耗が早くなる場合があります。
そのため、摩耗対策を重視する用途ではポリウレタンが採用されるケースが多くあります。
一方で、コスト面では天然ゴムが有利となる場合もあります。
6、ポリウレタンとEPDMの耐熱温度の違い
EPDMの連続使用温度は100℃~120℃程度とされています。
そのため、耐熱性ではEPDMの方が優れるケースが一般的です。
また、EPDMは耐候性や耐オゾン性にも優れているため、屋外用途で広く使用されています。
一方、ポリウレタンは耐摩耗性や耐引裂性に優れています。
例えば搬送ローラーや車輪用途ではポリウレタンが選ばれ、
防油堤や屋外パッキン用途ではEPDMが選ばれるケースがあります。
求める性能によって使い分けが行われています。
7、ポリウレタンとシリコンゴムの耐熱温度の違い
シリコンゴムは高耐熱ゴムの代表的な材料です。
一般的な連続使用温度は180℃~200℃程度であり、
高耐熱グレードでは250℃近くまで対応する場合もあります。
一方、ポリウレタンの連続使用温度は70℃~90℃程度です。
そのため、耐熱性能だけを比較するとシリコンゴムが圧倒的に優れています。
ただし、耐摩耗性や耐引裂性についてはポリウレタンの方が優れています。
高温環境ではシリコンゴム、摩耗環境ではポリウレタンという使い分けが一般的です。
8、ポリウレタンとフッ素ゴムの耐熱温度の違い
フッ素ゴムの連続使用温度は200℃~250℃程度とされています。
耐熱性ではポリウレタンを大きく上回ります。
また、耐薬品性や耐油性についてもフッ素ゴムは非常に優れています。
一方で、ポリウレタンは耐摩耗性や機械強度に優れており、価格面でも有利な場合があります。
そのため、高温かつ薬液環境ではフッ素ゴム、
摩耗や衝撃が発生する環境ではポリウレタンが選定されることがあります。
9、ポリウレタンが使用される温度環境の具体例
ポリウレタンは常温から中温域で使用されることが多い材料です。
物流設備の搬送ローラーでは20℃~60℃程度の環境で使用されるケースがあります。
産業機械のガイドローラーや押さえローラーでは40℃~80℃程度の環境が一般的です。
また、製鉄設備や製造ラインでは60℃~90℃程度の環境で使用される場合があります。
さらに、ウレタンライニングローラーでは表面温度が80℃前後となる環境でも使用されるケースがあります。
ただし、100℃を超える環境では劣化が加速する可能性があるため、
長期使用時には注意が必要です。
10、まとめ
ポリウレタンは、耐摩耗性、耐引裂性、機械強度に優れた高機能材料です。
一般的な連続使用温度は70℃~90℃程度であり、
短時間であれば100℃~120℃程度に耐えるケースもあります。
また、天然ゴムやEPDMと比較すると耐摩耗性に優れ、
搬送設備やローラー用途で広く使用されています。
木成ゴム株式会社では、樹脂材料の特性や使用環境に関する一般的なご相談を承っております。
使用条件やお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
用途に応じた材料選定の参考情報をご提供いたします。






