EVA樹脂の耐熱温度は?他材質との違いも詳しく解説
樹脂材料は軽量性や加工性の高さから、さまざまな産業分野で広く利用されています。
その中でもEVA樹脂は、柔軟性やクッション性に優れた材料として知られており、
工業用途から日用品まで幅広く使用されています。
EVA樹脂は、緩衝材、シール材、履物材料、各種パッキンなどの用途で採用されることが多く、
ゴムに近い柔軟性を持ちながらも、樹脂としての加工性を備えている点が特徴です。
しかし、材料を選定する際には、耐熱温度を十分に理解しておく必要があります。
樹脂材料は金属と比較して熱による影響を受けやすく、
使用環境の温度条件によっては軟化や変形が生じる可能性があるためです。
本記事では、EVA樹脂の耐熱温度の基本的な考え方を整理しながら、
他の代表的な樹脂材料との違いについても解説します。
目次
1、EVA樹脂とはどのような材料か
EVA樹脂とは、エチレンと酢酸ビニルを共重合させて作られる熱可塑性樹脂です。
正式名称はエチレン酢酸ビニル共重合体と呼ばれます。
この材料は、エチレンの持つ柔軟性と酢酸ビニルの持つ弾性や、
透明性の特性を併せ持っていることが特徴です。
酢酸ビニルの含有量によって材料の性質が変化し、
含有量が高いほど柔軟性や弾性が高くなる傾向があります。
EVA樹脂はクッション性に優れており、スポーツ用品、履物のミッドソール、
包装材、緩衝材、シール材など幅広い用途で使用されています。
また、発泡加工がしやすい材料でもあるため、発泡シートや発泡成形品として利用されるケースも多くあります。
2、樹脂材料における耐熱温度の基本的な考え方
樹脂材料の耐熱温度とは、材料が実用上問題なく使用できる温度範囲の目安を指します。
単に溶ける温度を意味するものではなく、
材料の形状や強度を維持できる温度の範囲として理解されます。
一般的に樹脂の耐熱性を評価する際には、
連続使用温度、熱変形温度、融点などの指標が参考にされます。
連続使用温度とは、長期間使用しても材料特性が大きく劣化しない温度範囲の目安です。
熱変形温度は、一定の荷重条件下で材料が変形し始める温度を示します。
これらの指標は材料ごとに異なり、使用環境や負荷条件によっても、
実際の使用可能温度は変化します。
そのため、耐熱温度はあくまで一般的な目安として理解することが重要です。
3、EVA樹脂の耐熱温度の目安
EVA樹脂の耐熱温度は、一般的に以下のような範囲とされています。
連続使用温度はおおよそ60℃~80℃程度とされています。
短時間であれば80℃~90℃程度まで耐える場合があります。
ただし、EVA樹脂は柔軟性を重視した材料であるため、
高温環境では比較的早く軟化する傾向があります。
特に荷重がかかる状態で温度が上昇すると、
圧縮変形や永久変形が生じる可能性があります。
そのため、EVA樹脂は中温域までの環境で使用されることが一般的です。
4、EVA樹脂の融点とガラス転移温度
EVA樹脂の融点は、酢酸ビニルの含有量によって変化します。
一般的にはおおよそ80℃~100℃程度の範囲にあるとされています。
酢酸ビニル含有量が少ない場合は融点が高くなり、
含有量が多い場合は融点が低くなる傾向があります。
また、EVA樹脂のガラス転移温度は約-30℃~-10℃程度とされています。
このため、低温環境でも柔軟性を保ちやすいという特徴があります。
5、ポリエチレンとの耐熱温度の違い
ポリエチレンは汎用樹脂として広く使用されている材料です。
低密度ポリエチレンの連続使用温度はおおよそ60℃~80℃程度とされています。
この温度範囲はEVA樹脂とほぼ同程度です。
ただし、EVA樹脂はポリエチレンと比較して柔軟性や弾性が高く、
クッション材としての用途に適しています。
一方で、ポリエチレンは耐薬品性や耐水性に優れている点が特徴です。
6、ポリプロピレンとの耐熱温度の違い
ポリプロピレンはポリエチレンと並ぶ代表的な汎用樹脂です。
ポリプロピレンの連続使用温度はおおよそ90℃~110℃程度とされており、
EVA樹脂よりも高い耐熱性能を持っています。
そのため、やや高温環境で使用される部品ではポリプロピレンが選ばれることがあります。
7、ABS樹脂との耐熱温度の違い
ABS樹脂は強度と耐衝撃性に優れた樹脂として広く使用されています。
ABS樹脂の連続使用温度はおおよそ70℃~90℃程度とされています。
この温度範囲はEVA樹脂よりもやや高い場合があります。
また、ABS樹脂は機械的強度が高いため、構造部品として使用されるケースが多く見られます。
8、シリコンゴムとの耐熱温度の違い
シリコンゴムは耐熱性に優れた材料として知られています。
一般的なシリコンゴムの連続使用温度はおおよそ180℃~200℃程度とされており、
EVA樹脂と比較すると大幅に高い耐熱性能を持っています。
そのため、高温環境で使用されるパッキンやシール材では、
シリコンゴムが採用されることが多くあります。
9、EVA樹脂が使用される温度環境の目安
EVA樹脂は柔軟性とクッション性に優れた材料であり、
比較的中温域までの環境で使用されることが多い材料です。
一般的には50℃~70℃程度の環境であれば安定して使用されるケースが多く見られます。
このような温度範囲は、包装材、緩衝材、履物材料、
各種クッション材などの用途に適した環境といえます。
10、まとめ
EVA樹脂は、柔軟性やクッション性に優れた熱可塑性樹脂として幅広く使用されています。
耐熱温度の目安は60℃~80℃程度であり、
短時間であれば80℃~90℃程度まで耐える場合があります。
ただし、高温環境では軟化や変形が生じる可能性があるため、使用条件を考慮した材料選定が重要です。
ポリプロピレンやABS樹脂と比較すると耐熱性はやや低いものの、
柔軟性や弾性に優れている点がEVA樹脂の大きな特徴です。
木成ゴム株式会社では、樹脂材料の特性や使用環境に関する一般的なご相談を承っております。
使用条件やお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
用途に応じた材料選定の参考情報をご提供いたします。






