6ナイロンとは？材質・特徴・使用例を解説
産業分野において広く使用されている樹脂の一つに、6ナイロンがあります。
優れた強度・耐摩耗性・耐薬品性を兼ね備え、摺動部品や構造材として幅広く利用されています。
特に自動車や産業機械、電気・電子分野などでは、
軽量化やコストダウンを実現する素材として高く評価されています。
本記事では、6ナイロンの材質や特徴、長所と短所、加工方法、代表的な使用例、
さらには6ナイロンと他のナイロン（66ナイロン・MCナイロン）の違いについても詳しく解説します。
6ナイロンを導入する際の基礎知識として、ぜひ参考にしてください。
目次
1、6ナイロンとは？
6ナイロンは、ポリアミド系のエンジニアリングプラスチックの一種です。
「PA6」とも呼ばれ、分子構造に由来して「6ナイロン」という名称がついています。
特徴は、バランスの取れた性能にあります。
強度や耐摩耗性、耐薬品性、耐衝撃性などを総合的に満たしており、
幅広い分野で金属や他樹脂の代替材として利用されています。
代表的な用途は、自動車のギアやベアリング、機械のローラー、家電製品の構造部品などで、
生活や産業を支える多くの分野で採用されており、特に摺動部品や耐衝撃性を求められる場面に適しています。
2、6ナイロンの材質
6ナイロンは、ε-カプロラクタムを原料とした重合反応により生成されるポリアミド樹脂です。
結晶性を有する熱可塑性樹脂で、分子内にアミド結合を持つことが特性の基盤となっています。
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結晶性の高さ：耐摩耗性や強度に寄与
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アミド基の存在：水素結合により強靭性や耐熱性を発揮
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吸水性：水分を吸収しやすく、寸法安定性に影響
一般的には乳白色のペレットや成形材として供給され、射出成形・押出成形に適しています。
さらに、切削加工も可能で、幅広い製造方法に対応できる点も特徴です。
3、6ナイロンの主な特徴
6ナイロンが幅広く利用される理由は、その性能のバランスにあります。
代表的な特徴は以下の通りです。
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高い強度と靭性：衝撃に強く、割れにくい
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優れた耐摩耗性：自己潤滑性を持ち、摺動部品に最適
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耐薬品性：油類や有機溶剤に強い
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耐疲労性：繰り返し荷重にも耐える
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吸水性あり：湿度や水分を吸収することで性質が変化
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電気絶縁性：絶縁部品にも利用可能
これらの特性は他のエンプラと比較してもバランスが良く、設計や製造の自由度を高めています。
4、6ナイロンの長所
6ナイロンには以下のような強みがあります。
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高強度・高靭性：耐衝撃性があり、荷重を受ける部品に適する
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耐摩耗性に優れる：摩擦の多い摺動部品でも長寿命を実現
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軽量：金属に比べ大幅に軽量で、燃費向上や省エネに寄与
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加工性が良い：射出成形・押出成形・切削加工に幅広く対応
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コストパフォーマンス：同じナイロン系の中でも比較的安価
これらの長所から、6ナイロンは「実用性が高いエンプラ」として、産業界で定着しています。
5、6ナイロンの短所
一方で、6ナイロンには注意すべき弱点もあります。
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吸水性が高い：水分を吸収すると寸法が変化しやすい
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寸法安定性に課題：湿度や環境条件によって精度に影響
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耐候性に弱い：紫外線で劣化しやすく、屋外使用には工夫が必要
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高温での強度低下：連続使用温度は100～120℃程度が目安
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接着が難しい：溶着や機械的固定が必要になる場合が多い
これらを理解した上で、66ナイロンやMCナイロンなど他のナイロン系樹脂と使い分けるのが実務的です。
6、6ナイロンの加工方法
6ナイロンは熱可塑性樹脂であり、さまざまな加工方法に対応できます。
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射出成形：最も一般的で、大量生産に適する
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押出成形：丸棒や板材、パイプなど連続形状の製造に利用
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切削加工：金属加工機で加工可能。精密部品に対応
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ブロー成形：容器や中空部品の成形に使用可能
このように加工の自由度が高いため、自動車、電気・電子、建材、家電など幅広い産業に適しています。
7、6ナイロンの代表的な使用例
6ナイロンは以下のような分野で利用されています。
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自動車部品：ギア、ベアリング、ペダル部品、燃料系部品など
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産業機械：ローラー、カム、チェーンリンク、摺動部品
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電気・電子部品：コネクター、スイッチ、リレー、絶縁部材
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建材・日用品：ファスナー、家具部品、電動工具のハウジング
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医療分野：分析装置や耐薬品性を求められる部品
特に自動車産業においては軽量化と耐久性を両立できる材料として、採用が進んでいます。
8、6ナイロン・66ナイロン・MCナイロンの違い
ナイロン系樹脂は種類が多く、それぞれに特徴があります。代表的な3種類を比較します。
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6ナイロン（PA6）
汎用性が高く、コスト面で優れる。吸水性が高いため、寸法精度が必要な部品では注意が必要。 -
66ナイロン（PA66）
6ナイロンに比べて吸水率が低く、耐熱性・寸法安定性に優れる。強度もあり精度が要求される部品に適する。 -
MCナイロン（モノマーキャスティングナイロン）
6ナイロンをモノマーから直接重合・成形したタイプ。分子量が大きく、強度・耐摩耗性がさらに高い。
このように、同じナイロンでも性質に差があるため、用途に応じた選択が重要です。
9、6ナイロン製品の選び方チェックリスト
6ナイロンを採用する際には、以下の観点を確認すると失敗を防げます。
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使用環境：温度、湿度、屋外使用の有無
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要求性能：強度、摩耗性、寸法精度のレベル
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加工方法：射出成形か、切削加工か
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コスト面：材料費だけでなく、加工費や量産性を含めた評価
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他ナイロンとの比較：66ナイロン・MCナイロンとの適材適所の使い分け
これらを整理した上で選定すると、品質とコストのバランスを最適化できます。
10、まとめ
6ナイロンは、強度・耐摩耗性・耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックであり、幅広い用途で利用されています。
ただし吸水性や寸法安定性には課題があり、66ナイロンやMCナイロンと用途に応じて使い分けることが重要です。
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