天然ゴムの耐候性は?他材質の違いも詳しく解説
産業用途に幅広く使用されている天然ゴム(NR)は、
優れた弾性・柔軟性・耐摩耗性を持つため、多くの部品に採用されてきました。
しかし、屋外環境に長期間さらされる用途では、紫外線や酸素などで劣化が進行しやすい特性があります。
調達・購買担当者にとっては、天然ゴムの耐候性を理解し使用環境に適した材料選定を行うことが重要です。
本記事では、天然ゴムの耐候性を分かりやすく解説し、他のゴム材質との違い、
代表的な使用用途、選定時の注意点まで、詳しくご紹介します。
目次
1、天然ゴム(NR)とは?
天然ゴムは、パラゴムノキの樹液から得られるポリイソプレンを主成分とした高分子材料です。
古くから工業製品に採用され、特に引張強さや伸び、反発弾性に優れ、
衝撃を吸収する能力が高い点が強みです。
機械的特性が高い一方で、化学的な耐性には差があり、使用環境によっては劣化が早く進む場合があります。
耐油性や耐候性はあまり強くないことが一般的です。
2、天然ゴムの耐候性の基礎
耐候性とは、屋外環境(紫外線、雨、風、大気化学成分など)にさらされた際の劣化しにくさを示す指標です。
天然ゴムは、酸素・紫外線・オゾンに対して脆弱であり、
屋外に放置されるとひび割れ、弾性低下、硬化といった変化が進みやすい傾向があります。
特に、ゴム表面の分子が酸化によって切断されることで強度が低下します。
日射環境下では劣化の進行が早まるため、屋外部品に使用する際は材質選定が重要になります。
3、紫外線による劣化の特徴
紫外線は天然ゴムの分子構造を分解し、内部まで劣化を進行させます。
以下の特徴が一般的です。
・表面のひび割れ
・弾性低下
・色調変化(黒色製品では分かりにくい場合あり)
屋外での長期使用が前提の場合、天然ゴム単体では性能維持が難しいことがあります。
4、オゾンによる劣化の特徴
大気中に微量存在するオゾンは、ゴム分子を化学的に切断してひび割れを引き起こします。
特に天然ゴムはオゾン劣化に弱く、以下のような症状が現れます。
・引張応力下でのクラック発生
・環境応力亀裂(応力方向に沿って割れが生じる)
ゴム製品が伸ばされた状態やねじれた状態で放置されると、ひび割れが急激に進むことがあります。
5、温度環境が劣化に与える影響
天然ゴムは耐熱性もそれほど高くはないため、温度環境にも配慮が必要です。
・高温環境では熱酸化が進む
・低温では硬化し柔軟性を失う
激しい温度変化がある屋外設備では注意が求められます。
6、他材質との違い
天然ゴムは耐候性がそれほど高くない一方、他材質では性能が異なります。
・クロロプレンゴム(CR)は、耐候性・耐オゾン性が比較的良好
・EPDMは耐候性が特に優れ、屋外用途で広く採用
・シリコンゴムは耐熱性・耐候性ともに非常に良好
・フッ素ゴムは耐熱・耐薬品性が極めて高い
このように、用途に応じて天然ゴム以外の材料が選ばれるケースが多くなっています。
7、天然ゴムのメリットとデメリット
天然ゴムには明確な強みと弱点があります。
メリットとして、優れた弾性・反発性が挙げられ、機械的衝撃吸収に適した部材として長く利用されてきました。
コストも比較的低く、加工性も高いため、多品種製造が可能です。
一方、デメリットとして、耐候性・耐油性・耐熱性が高くなく、環境依存性がある点が挙げられます。
用途によっては人工ゴム材が推奨されることがあります。
8、天然ゴムが向いている使用用途
天然ゴムは屋外使用には慎重な検討が必要ですが、以下のような屋内主体の用途に向いています。
・防振ゴム
・ロール、パッキン、パッド
・工業用品のクッション材
・タイヤ(配合により性能調整したもの)
衝撃・摩擦対策が必要な部分でその性能が活きます。
9、天然ゴムを選定する際の注意点
天然ゴムを調達する際には、以下を確認すると適材選定につながります。
・屋外暴露があるかどうか
・紫外線・オゾンへのさらされ方
・温度変化の激しさ
・要求される寿命とメンテ頻度
・必要な弾性と強度のバランス
耐候性を重視する場合は、別材質の検討が必要となるケースもあります。
必ず使用環境を明確にした上で、製品仕様を確認してください。
10、まとめ
木成ゴム株式会社では、天然ゴムをはじめとする多様なゴム材質を取り扱っており、
使用環境や求められる性能に応じた最適な素材をご提案しています。
調達・購買のご担当者様にとって、材料選定は品質・コストの両面に影響する重要な要素です。
少量からの対応や試作のご相談も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
豊富な経験とノウハウをもとに、お客様の製品づくりをサポートいたします。




