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ニトリルゴムの耐候性は?他材質の違いも詳しく解説

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ニトリルゴムの耐候性は?他材質の違いも詳しく解説

ニトリルゴム(NBR)は、自動車産業をはじめ、
油や燃料が関わる装置で広く使用されている代表的な合成ゴムです。
特に耐油性に優れる点が大きな特徴で、シール材・パッキン・ホースなど、
機械内部で欠かせない材料として採用されています。

ただし、用途によっては外部環境にさらされるケースもあり、その際気になるのが耐候性です。
紫外線やオゾンなどによってどの程度劣化しやすいのか、
他のゴムとの比較ではどのような位置づけなのかは、選定上の重要ポイントです。

本記事では、ニトリルゴムの耐候性の傾向や他材質との違い、使用時の注意点を解説します。
ゴム材選定の基礎情報として、ぜひご活用ください。




 

  

1、ニトリルゴム(NBR)とは?

アクリロニトリル(AN)とブタジエンの共重合体で、AN含有量の違いにより性能バランスを調整します。
含有量が高いほど耐油性は向上し、低いほど低温柔軟性が高くなる傾向があります。

自動車、油圧機器、産業機械など、工業用途で不可欠な素材として普及しています。



2、ニトリルゴムの主な特徴


メリット

  • 耐油性に非常に優れる(鉱物油・燃料油・潤滑油)

  • 摩耗に比較的強い

  • 機械的強度が良好

  • 気体透過性が小さくシール性に優れる

  • コストバランスが良い


課題

  • 耐候性はあまり高くない

  • 温度変化と低温に弱い傾向

  • 耐薬品性は種類によって大きく異なる

用途に応じた適材適所の判断が必要になります。


 

3、ニトリルゴムの耐候性の位置づけ

 

一般的に、NBRは紫外線やオゾンに対しては劣化しやすい素材とされています。

屋外で長期間使用すると…

  • 表面にひび割れ(クラック)が発生

  • 硬化

  • 強度低下

  • 密封性能の低下

密閉空間や屋内環境での使用では問題が小さい一方、
気象環境の影響が大きい場所では他材質が優先されることも多いです。



4、他材質との耐候性の違い

 

耐候性を比較した際の一般的な位置づけは次の通りです。

  • EPDM(EPR):紫外線・オゾン・耐熱性すべて優秀

  • シリコンゴム:耐候性・耐熱性ともに最上位クラス

  • クロロプレンゴム(CR):比較的良い耐候性

  • 天然ゴム(NR):耐候性は低い

  • NBR:NRよりはやや良いが、EPDM等より劣る

NBRはあくまで耐油性を最優先したい場合に適した素材といえます。

 

 

5、ニトリルゴムが屋外で劣化する一般的要因

 

劣化を促進する外部因子として、以下がよく知られています。

  • 紫外線(特に直射日光)

  • オゾン(電力設備周辺など)

  • 酸化(熱・酸素)

  • 湿度・降雨

  • 温度変化による収縮と硬化

環境因子が重なると劣化が早まるため、屋外環境での使用には慎重な評価が必要です。

 

 

6、ニトリルゴムが向いている使用用途

 

特に下記のような条件ではNBRが有効です。

  • 油に触れる部位

  • 直射日光の当たらない設備内部

  • シール性が要求される密閉スペース

  • 摩耗が避けられない部品

  • コストバランスを重視したい場合


代表例:

  • Oリング

  • 各種パッキン

  • フューエルホース

  • ガスケット

  • コンプレッサー用部品

自動車・建設機械・農業機械・油圧機器などで多用されています。

 

 

7、ニトリルゴムが向かない使用条件

 

以下の一般的状況では不向きとされています。

  • 屋外で長期使用される部品

  • 紫外線・オゾン濃度の高い環境

  • 低温環境(硬化しやすい)

  • 高温状態が長く続く場所

密封環境であれば問題ない場合でも、露出した状態では別材質を検討すべきです。

 



8、他材質が適しているケースの例

 

■屋外で長期間使用される部品の場合
 ニトリルゴムでは紫外線やオゾンの影響により硬化やひび割れが進行しやすくなります。
 そのため、一般的にはEPDMが選ばれることが多く、屋外用シール材として確立された実績があります。


■高温環境で使用される部品の場合
 ニトリルゴムでは熱による劣化速度が早まる傾向があり、シリコンゴムやフッ素ゴムが候補に挙げられます。
 シリコンゴムは特に耐熱性と耐候性の両立に優れ、
 FKMは耐熱性や耐薬品性を必要とする用途で採用されています。


■酸性やアルカリ性の薬品に触れる環境では
 NBRの耐薬品性能が場合によって不足することがあり、EPDMやフッ素ゴムが検討されるケースがあります。
 特に、薬液タンク周辺のパッキンやガスケットでは、事前の材料評価が欠かせません。


■耐炎性が求められる環境では
 クロロプレンゴム(CR)が選ばれることがあります。
 電気設備の周辺や火気を扱う装置など、安全性を重視した用途で検討される素材です。


このように、NBRは耐油性に特化して優れた性能を発揮する一方で、
使用環境によっては他のゴムが最適となるケースもあります。
目的と求められる性能を整理し、複数の素材を比較検討することが重要です。





9、材料選定時に確認したいポイント

 

調達・購買業務において特に意識するべき事項は以下です。

  • 具体的な使用環境(屋内/屋外、温度、湿度)

  • 接触媒体(油・燃料・薬品など)

  • 要求寿命(交換頻度の許容範囲)

  • 品質とコストのバランス

  • 寸法精度や加工方法の制約

適材適所の判断が、過剰性能によるコスト増や不具合のリスクを防ぎます。

 
 

10、まとめ

 

木成ゴム株式会社では、ニトリルゴムをはじめとする多様なゴム材の加工に対応しております。
各材料の特性や使用環境を踏まえ、最適な選択肢をご提案することが可能です。

「油に強いゴムを使いたい」「屋外使用に適した素材を探している」など、
材料選定に関するお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

小ロット対応や試作にも柔軟に対応し、お客様の用途に適合する部品製作をサポートいたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。

 




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